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2010. 12. 17.

“調整”係数は残るのか?

昨日、DPC評価分科会の会合が開催されました。

この日の議論の焦点は、「調整係数」。

調整係数については、2010年度改定において、この4分の1を置き換える形で「機能評価係数Ⅱ」が導入され、段階的に廃止するとされていました。 ところが、この日の会合では、「『前年度並の収入確保』という機能は廃止する」ということを強調した上で、「(2010年度改定までの)2年間の議論を経て、調整係数を機能評価係数で置き換えるのは不可能であると感じている」(小山委員・東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長)という指摘があり、「現行の調整係数が担う役割を何らかの形で代替するもの」(配布資料より)を今後、検討するという方向性になりました。

DPC評価分科会

このほか、昨日の会合で合意が得られたポイントは、次の通りです。

○調整係数の設定方法について

「前年度並の収入確保」という表現が一般的に使われるため、言葉通り「前年度」の収入を担保するものだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、現行では、“医療機関ごと”“DPC準備病院中(DPCに入る前)の”報酬水準を継続的に反映させる仕組みとなっています。

これに対して、多くの委員から「(過去に遡って反映する仕組みを)リセットすべき」という意見が相次ぎ、厚生労働省担当者からも「個別の医療機関ごとに設定すること、過去に遡って維持されることのハイブリッド、2つの要素がかみ合って出てくる弊害」と説明があり、「(過去の遡る方式は)リセットし、直近の診療実績を反映させるようにする」という方向で合意が得られました。

ただし、「直近」の捉え方は、各委員によっても異なり、これから検討されるようです。

○2010年度改定で導入された「機能評価係数Ⅱ」について

池上委員・慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授からの「調整係数に変わるもととして、医療機関係数Ⅱが勘案され、順次、置き換えの幅を広げていくという方向性だったのでは?」という主旨の質問に対し、「調整係数を機能評価係数で置き換えるのは不可能と感じている。機能評価係数Ⅲ、Ⅳとつくっていくと、もっと複雑になる」、「調整係数と機能評価係数は全く異なるものなので、置き換えというのは…」など、調整係数を機能評価係数で置き換えるのは難しいのではないかという旨の意見が多く出ました。

さらに、機能評価係数Ⅱ自体に対しても、「出来高の医療資源投入量に基づいてつくられたものではなく、根拠のないもの。今後、議論が必要」(三上委員・日本医師会常任理事)、「(包括点数の)全体にかかる係数という意味で選んでいなかったのは確か。(改定時期が迫り、時間のない中で)、みなさまのご理解と妥協で…」(厚労省)と、見直しが必要であるという意見が相次ぎました。

○調整係数に変わって、包括評価を調整する仕組みについて

「現行の調整係数が担う役割を何らかの形で代替するとした場合」、包括報酬を調整する仕組みについても話し合いが行われました。

厚労省からは、次のような提案があり、方向性としてはいずれも合意が得られました。 ・全DPC病院における出来高診療報酬の実績値を単純に平均した包括報酬に、「一定幅」を上乗せして設定⇒「一定幅を上乗せする」ということに対して合意 ・診療内容のばらつきが、施設規模や施設の持つ特性との間に一定の関連があるため、施設特性を反映させた形で調整のあり方を考える

ただし、いずれも具体的な方法は固まっておらず、個別の医療機関ごとの係数という形ではなくなるのか、施設類型によって係数を設けるのか、など、意見は錯綜していました。

会合後の記者に対する説明では、厚労省担当者から、「(現行の調整係数から)どこかで不連続点をつくらなければいけない。一つは、直近の診療実績を反映させるということ」とコメントがありました。

小山委員(左)、西岡分科会長