GHCの病院経営コンサルティングブログ

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2010年07月30日(Friday)

山岳ドクター、来年誕生

昨日の「めざましテレビ」(フジテレビ系列)で、長野県の社会医療法人財団慈泉会相澤病院の医師が紹介されていました。

テーマは、「山岳ドクターへの挑戦」。

不勉強ながら「山岳ドクター」という言葉を聞いて、ピンとこなかったのですが、それもそのはずで、山岳ドクターと呼ばれる人は、日本にはまだ0人だそう。

日本登山医学会が、今年から国際認定山岳医制度をスタートし、養成を始めたばかりなのです。

さて、相澤病院のある長野県は、中央アルプスをはじめ、日本国内でも山の多い地域。そのため、屋上にヘリポートを持つ相澤病院では、登山中に負傷した人がドクターヘリで搬送されたりと、登山中の負傷者への救急対応が少なくなかったそうです。

病院に搬送される前に、当然、救急隊による応急処置が行われるわけですが、医師並みの医療が行えるわけではありません。初期治療の段階で適切な医療が行われなかったがために、命は取り留めても後遺症が残ってしまうケースがあり、「最初の段階で医療が寄り添うべき」と考えたのが、山岳ドクターを志したきっかけだったそうです。なおかつ、もともと登山が好きなわけでもなく、「シティボーイです」と笑っておっしゃっていました。

山岳ドクターに求められるのは、山岳特有の病気やけがに対するケアはもちろんのこと、登山技術も必須です。ヘリコプターで山に降り立ったり、天候が悪ければ徒歩で現地に向かわなければいけない場合もあります。さらに、負傷者を背負って、足場の悪い斜面を下山しなければいけないこともあります。

テレビでは、富山県の登山研修所で行われた2泊3日の研修の様子も紹介されていました。この研修には26人の医師が参加していたそうです。こうした研修は来年4月まで続き、第一号の山岳ドクターたちが認定を受けるのは来春とのこと。

それにしても、以前にも増して「相澤病院」というお名前をテレビで聞く機会が増えたような。さすがですね。

2010年07月29日(Thursday)

看護師募集広告に年間1,000万円を――日本病院学会

7月22日(木)、23日(金)、「第60回日本病院学会」(学会長:社会医療法人厚生会木沢記念病院理事長・病院長 山田實紘氏)が岐阜にて開催されました。GHCメンバーも、数人参加いたしましたので、そのご報告を。




まず、1日目の木曜日。
一般口演のテーマの1つに、「人材確保」がありました。これは、どこの病院でも、最重要課題の1つに挙がるのではないでしょうか。
大阪の北摂総合病院(217床)では、看護師不足を受けて、院内プロジェクトを立ち上げ、看護師の獲得に力を入れてきたそうです。発表されたのは、看護部看護室の糸島輝美さん。
看護師募集の広告には、年間で約1,000万円を投資されたとのこと。さらに、院内の職員の紹介で就職した場合、紹介した職員、就職した職員の2人に対して、数回に分けて合計15万円を提供するという、紹介制度も設けたそうです。
これには、会場から「すごいね」という驚きの声が漏れていました。

また、1日目のランチョンセミナー「640スライスCT導入の経緯とその効果」(東芝メディカル主催)では、三井記念病院の高本眞一先生が座長を務め、済生会熊本病院院長の副島秀久先生が講演されました。
済生会熊本病院では、今年3月、320列のCTを導入したそうです。この装置の特徴は、1回転で16㎝という広範囲を、わずか0.35秒で撮影できること。また、撮影時間が短い分、使用する造影剤も少なく、患者の検査時の苦痛も緩和されます。
講演では、この最新のCT装置の導入に伴う収支シミュレーションや実際の症例の紹介が行われました。
シミュレーションによると(実際の購入金額は不明ですが)、原価償却は6年間で、1日あたり21件(うち心臓CT8件)で、収支面で採算がとれるとのこと。また、同装置を導入したことによるメリットについても説明されていました。第一に、検査待ち日数が平均30日から10日前後に短縮。また、それによって検査件数も増加。さらに、外来で撮影し入院する必要性が減ったことにより、病床の有効利用も進んだそうです。


2日目のランチョンセミナーの1つは、緩和ケアをテーマにしたものでした。大日本住友製薬主催の「病院における緩和ケア:協働して明日を拓くために」と銘打った、このセミナーでは、公立学校共済組合東海中央病院病院長の渡邊正先生を座長に、名古屋掖済会病院 緩和医療科部長の家田秀明先生が講演されました。
緩和ケア病棟入院料を算定している施設は2010年6月時点で全国201施設と、この10年で約2倍になりました。同入院料の算定要件の1つに、①身体症状の緩和を担当する常勤医師、②精神症状の緩和を担当する常勤医師、③緩和ケアの経験を有する常勤看護師、④緩和ケアの経験を有する薬剤師――の4名から構成される緩和ケアチームが設置されていること、があります。
しかし、実際は、チームがあっても、うまく機能していないケースのほうが多いそうです。チームがチームとして機能するためには何が必要なのか、どのような考えが必要なのか、ピーター・ドラッガーの言葉を引用しつつ、説明されていました。

このほか、1日目の午前中には、新党改革代表で前厚生労働大臣の舛添要一氏の講演、2日目の市民公開講座では、「ミステリーで終わらない死因究明と画像診断」というタイトルで、ベストセラー作家で医師の海堂尊氏の講演もあったようです。

GHCのパンレットも!

2010年07月26日(Monday)

抗MRSA薬投与症例におけるTDMの実施率は0%から100%まで病院によってさまざま

「DPCマンスリーレポート」の7月号の配信を始めました。

今回の特集は、「抗菌薬の使用実態調査」です。

分析では、重症感染症に用いられる抗MRSA薬、カルバペネム系抗菌薬の2つに焦点をあて、使用実態に関する病院間ベンチマークのほか、感受性検査を実施したうえで使用されているか、血液濃度測定が行われているかなど、適正使用という観点から分析を行いました。

ここでは抗MRSA薬に関する分析の一部を紹介します。
分析対象としたのは、注射剤であるバンコマイシン塩酸塩(代表的な先発商品名「塩酸バンコマイシン」)、テイコプラニン(代表的な先発商品名「タゴシッド」)、アルベカシン(代表的な先発商品名「ハベカシン」)、リネゾイド(以下、代表的な先発商品名「ザイボックス」)の4製剤。

今回は、400床以上600床未満と対象病院を絞ったものの、その使用状況には病院間で大きな差がありました。

まず、抗MRSA薬の投与症例の割合は、全体平均が1.4%。最も高い病院は約3.5%で、最も低い病院では0.5%を下回っていました。

また、バンコマイシン塩酸塩、テイコプラニン、アルベカシンの3剤を安全かつ有効に投与するために実施することが望ましいと添付文書に記載されているのが、血中濃度測定モニタリング。これは、特定薬剤治療管理料として、月1回の管理料を算定することが認められています。
この血中濃度測定モニタリング(TDM)の実施状況について病院間で比較したところ、100%の割合で実施している病院から、0%、10%台の病院まで、投与症例数の多寡にかかわらず、大きな差が生じていました。実施率の低い病院では、「なぜ、低いのか?」「本当に必要ないのか?」検証が必要です。


さて、このほかの7月号のコンテンツは下記の通りです。

特集……抗菌薬の使用実態調査
ケーススタディ……その他の感染症
工藤高氏の連載……地域医療指数を増やす方法
真野俊樹氏の連載……医療環境の変化~2010年の方向性~


「DPCマンスリーレポート」のダウンロード方法
※事前のID登録が必要です

GHCのコミュニティサイト(下記URL)にログインし、トップページからダウンロードしてください。なお、左のリストの「DPCマンスリーレポート」から、過去のレポートをダウンロードすることも可能です。

https://www.ghc-community.com/index.php?action_login_input=true


「DPCマンスリーレポート」とは?
読者病院から送っていただいたDPCデータを基に分析を行い、その結果を、国内650もの急性期病院のデータ分析経験を持つグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント陣が解説。匿名化した上で、ベンチマーク結果を掲載しますので、自院のポジションが一目でわかります。

発行 :月刊(毎月25日発行)
創刊 :2007年1月
販売価格:半年30,000円(6部・税別) 年間50,000円(12部・税別)
      DPC分析システム「EVE」ユーザーは無料です
※EVEのユーザー病院で、「DPCマンスリーレポート」に未登録の方は、
report@ghc-j.comまでお問い合わせください。

詳細な説明、サンプル版のダウンロードは下記ページをご覧ください。
http://www.ghc-j.com/report.php

2010年07月23日(Friday)

ドライブスルーの小児科クリニック

今朝、何気なくテレビをつけていたら、ドライブスルーの特集をしていました。
ドライブスルーといえば、まず思い出すのはファーストフードショップではないでしょうか? もちろん、そうしたお店も紹介されていたのですが、最近ではさまざまな業態でドライブスルーが取り入れられているらしいのです。

テレビで紹介されていた1つが、小児科のクリニックでした。
といってもさすがに車に乗ったまま診察を受ける、というわけではありません。

そこでは、「ドライブスルー受付」を行っているのです。車に乗ったまま受付ができて、診察までの待ち時間を敷地内に停めた車の中で過ごせるというもの。
インフルエンザが流行している時期などは特に、待合室で待ちたくないという人も多いそうで、ドライブスルー受付を利用される患者さんも多いとのこと。

テレビで紹介されていたのは、群馬県高崎市にある小児科医院「あらいキンダークリニック」でした。こうしたサービスは、比較的広い土地を確保しやすい地方ならではですね。

調べてみると、車に乗ったまま処方せんを渡して、車に乗ったまま薬を受け取るという、ドライブスルー薬局も全国に複数個所あるようです。

サービス業として顧客の利便性を追求した結果、ですね。

2010年07月21日(Wednesday)

DPCデータマネジャー育成講座 初級編

先週金曜、土曜と二日間に渡って、NPOメディカルコンソーシアムネットワークグループ主催で「DPCデータマネジャー育成講座:初級編」が開催されました。GHCは、講師として参加しています。
昨年春・秋と2回開催した際、いずれも非常に好評で、定員に達してからも多くのお問い合わせをいただいていたので、今回、再びの開催となりました。昨年の2回は月に1度の3回シリーズで行っていましたが、遠方からの参加者も多かったので、今回は週末の2日間に凝縮し、連日開催としました。

この講座の最大の特徴は、一方通行の講義だけではなく、グループワークの時間、実際にノートパソコンを使用し、実データを使って分析作業を行ってもらう演習時間を多く設けていることです。

GHC流石

2日目の演習の時間には、まず、先日厚生労働省が公表した昨年度のDPCデータのうち、「手術、化学療法、放射線療法、救急車搬送、全身麻酔の件数」のエクセルシートを用い、シートのなかから自院の近隣の病院をピックアップして他院との比較を見ていただきました。

さらに、参加者を5、6人のグループに分け、それぞれが分析で発見した内容をグループで共有していただく時間も設けました。

「予想通り、○○病院さんがやはり救急搬送が一番多く…」と事前の予想とデータが一致していた方もいれば、「病床規模は当院が二番目に大きいのですが、手術件数は負けていました」などと予想とは異なって方もいて、みなさん、何かしらの発見があったようでした。

GHC冨吉

続いて、疾患別のデータから、同様に近隣の病院間で比較していただきました。
「自院では、○○の疾患が多いはず」
「○○の疾患は、地域で一番診ているはず」
といった仮説を立てていただき、実際のデータで検証、その結果をまたグループ内で共有していただきました。

この分析でもやはり皆さんいろいろな気づきがあったようで、「ショックな発見がありました」「残念なことを見つけてしまいました」などと感想が聞かれました。

今回の講座を通して、分析の行い方、切り口の見つけ方、他の人に説明する方法などを学んでいただけたのではないかと思います。
また、参加者同士で名刺交換を行い、非常にフランクに情報交換をされていて、良き“同士”として話している姿が印象的でした。みなさんのおかげで非常に雰囲気の良い講座になっていたと思います。

ただ、講座内で行った分析はまだまだほんの一部です。

講座のなかで、DPC委員会での活動にうかがったところ、「DPCの導入前には何度もミーティング開いていたものの、実際に請求が始まってからは頻度が減った」という病院が多くありました。
今回の講座で行った分析、切り口の探し方、グループワークでの情報共有などを参考に、仮説を立てる→データで検証する→院内にフィードバックする、というサイクルをぜひ、院内でも実施していただければと思います。


グループワーク中