地域医療への貢献と健全な経営が認められ、平成21年度「自治体立優良病院」に表彰された大垣市民病院。2008年度からDPC対象病院となり、09年度には前年度比で大幅な収益増を果たしました。この背景には、入院、外来ともに単価が上がり、患者数も増加傾向と、急性期病院としてのあるべき姿により近づいたことがあります。GHCがコンサルティングに入らせていただいた2年前から今に至るまでについて、担当のコンサルタントとともに曽根孝仁院長先生に振り返っていただきました。(文中、敬称略)
ばらばらだった職員が
1つの矢印に
――曽根先生が院長先生に就任された2008年から、GHCもコンサルティングに入らせていただきました。この年は、DPCを導入したり、近隣に大手病院グループの病院が開院したりと慌しい時期でしたが、この2年間のDPCシフトを振り返ってみていかがでしょうか。
曽根 最初はものすごく不安でしたよ。日当点という包括の点数になることで、診療が硬直化するのではないかと思いました。しかし、急激な変化は避けつつ、診療内容を見直してきたところ、ジェネリック医薬品を採用することも悪くないこともわかりましたし、結果的には国の医療費抑制に協力できたのではないでしょうか。財政難に直面しているなか、協力できるころには、協力すべきだと思います。
――DPCの導入直後からGHCもかかわらせていただいたわけですが、コンサルティング開始当初の院内の反応はいかがでしたか。
曽根 キックオフとしてDPCに関する講演をしてくれたでしょう?あの時には240人くらいのスタッフが参加して、講演内容はわかりやすかったし、とてもいい感じにスタートが切れたと思いますよ。とはいっても、当初は、「面倒くさいことが始まったな」と感じた職員もいたと思う。そういう風にばらばらの方向を向いていた職員を、うまく先導してくれたのは、GHCが入ってくれたことも大きい。
細かいことはさておき、大事な部分、インパクトの大きな部分から見直しを始めたのもよかったですね。

現場が「いい医療」に専念できるよう
管理者や事務職がやるべきことをやる
――DPCシフトを進めるなかで、GHCがお役に立てた部分は、どのようなところでしょうか。
曽根 一番は、「DPCとはどういうものか」、病院全体として方向性を示してもらえたこと。また、ジェネリック医薬品の採用や医療材料の購入見直しなども、大きかったですね。そして何より、いろいろな面で他病院とのベンチマーク結果を見せてもらえる、全国の病院のデータを持っているということが非常に大きいと思う。
――コンサルティングを進める中で、外部からの情報を伝えることと、病院の皆さんの方向性を揃えていくことがまさに注力した部分です。
曽根 職員の教育も大きいね。心のつかみ方がうまい。診療科ごとに見直しを行って、ミーティングを開くなかで、医師がずらっと参加していたのにはびっくりしました。経営には関心を示さない医師が多い中、それだけ時間を使って真剣に聞いてくれるということは、それだけ関心を示すようになったということですから。
――実践したことを、トップが適切に評価してくださっているということが大きいのではないでしょうか。今では、看護師さんが入院期間Ⅰ、Ⅱを把握していて、「この病名の場合、入院期間Ⅱは○日だから」と意識してくださっているそうですね。
曽根 最初の頃は皆、知らなかったので、大きな変化だね。DPCの導入当初に比べて、今のほうが皆、協力的だし、皆の理解度に比例して院内が変わってきているのを感じますね。
――最後に、大垣市民病院の目指す今後の取り組みを教えてください。
曽根 おそらく今年の中ごろには、地域医療支援病院の指定と、総合入院体制加算(入院時医学管理加算から名称変更)は取れると思います。これらが取れれば、おそらく大丈夫でしょう。あとは、これまでもそうでしたが、当たり前のことを当たり前にやるだけです。当たり前というのは、請求できる部分を適切に請求するということ。医師や看護師などには本来の仕事をやってもらえばいいので、病院の管理者と事務職が責任を持ってやるだけですね。
DPCデータからさまざまなことが見えることはわかりましたし、そうした情報を院内にどんどんオープンにしていきたいと考えている一方で、数字だけを追うような泥臭い競争にはしたくない。あくまでも本質は医療。やはり現場の医師、看護師たちが、いい医療を提供することに専念できるような環境をつくりたいですね。
