GHCブログ

2014年07月16日

ICUの重症者割合、7対1の患者もカウント-厚労省が疑義解釈

 2014年度の診療報酬改定を受けて、厚生労働省が地方厚生局などに事務連絡した「疑義解釈」(その8)によると、特定集中治療室管理料の算定を届け出ている治療室に入院している患者について、実際には7対1入院基本料を算定していたとしても、一般病棟用ではなく特定集中治療室(ICU)用の基準で重症度を測定し、ICUに入院する重症者の割合は、こうした患者も含めて計算するということです。  こうした取り扱いは、7対1など特定集中治療室管理料以外の算定患者が多い治療室ほど、重症者割合の基準をクリアするのを難しくする内容で、GHCのコンサルタント・湯原淳平は、「ICUに入院中の一般病棟入院基本料の算定患者をICU用の重症度に入れていなかった病院では重症度が大きく下がり、特定集中治療室管理料を算定できなくなる可能性がある」と話しています。  ICUでは、意識不明だったり腎不全などの重篤な代謝障害だったりして、24時間体制での管理が必要な重症患者の受け入れを想定していて、特定集中治療室管理料は、重症者の割合が全体の「9割以上」などが算定要件です。入院患者の重症度はICU用の評価票で測定し、「A項目・B項目ともに3点以上」が重症者の基準です。  この管理料の算定を届け出ると入院してから14日まで、一日に最大1万3650点を算定できますが、実際には14日以内に退院できずに7対1入院基本料などの診療報酬に算定を切り替えたり、この管理料とは別の診療報酬を算定する病棟から患者を受け入れたりするケースがあります。  厚労省は事務連絡の中で、7対1入院基本料の算定患者を例に挙げてこうした場合の取り扱いを示しました。その中で同省は、7対1を算定している入院患者がICUなどほかの診療報酬の算定病床に入院している場合、「7対1入院基本料の該当患者割合の計算式に含めることはできない」としています。  今回の取り扱いでは、こうした患者をICUで受け入れる場合は、比較的症状が軽い7対1などの患者をカウントして治療室の重症者の割合を計算することになるため、「重症者9割以上」の基準をクリアすることが難しくなる可能性があります。  事務連絡は今月10日付で、4月の診療報酬改定を受けて厚労省が具体的な取り扱いを示したのは今回が8回目です。短期手術等基本料の算定患者が7対1の病棟に入院する場合は、この基本料の患者はカウントせずに病棟の重症者割合を計算するとしています。 GHCのコンサルタント・湯原淳平のコメント  今まで地域別に対応に違いのあった重大なグレーゾーンが一つなくなった。ICUに入院中の一般病棟入院基本料の算定患者をICU用の重症度に入れていなかった病院では、重症度が大きく下がり、特定集中治療室管理料を算定できなくなる可能性がある。また、一般病棟入院料の算定患者がICUに入院していたら、一般病棟の重症度の計算から外す必要があり、重症度が一気に下がるかもしれない。特定集中治療室管理料だけでなく、一般病棟入院料も算定できなくなると病院経営に大きな影響が出かねない。