事例紹介

2007年12月25日

1年で1億円のコスト削減を達成! 取引業者さんとの信頼関係のうえで

病院名 四日市羽津医療センター 設立母体 公立病院
エリア 東海地方 病床数 226
病院名 四日市羽津医療センター
設立母体 公立病院
エリア 東海地方
病床数 226
コンサルティング期間 1年間
コンサルティング
  • ・材料コスト削減
  • ・委託コスト削減

「前向き一本!」という松本好市院長のリーダーシップと、やる気のある職員が特徴的な四日市社会保険病院。同院では2006年に一年間にわたってコスト削減プログラムを行い、スタッフの多大な協力あって、診療材料や委託関係など合わせて約1億500万円のコスト削減という大きな成果を得ました。成功の秘訣はどのようなところにあったのか? GHCに対する感想も含めて、プロジェクトリーダーを務めたGHC芦田が、松本院長に改めて話をうかがいました。(文中、敬称略、インタビューは2007年12月、役職等は当時)

病院長と一体感のある病院思ってくれる 「なんとかせな!」と皆が

ー まず、GHCに依頼してくださったきっかけからお聞かせください。

松本好市院長 社会保険学会でのよしかわさん(GHC会長アキよしかわ)の講演を聞かせてもらったときに「これは良い」と思って直接コンタクトを取ったところ、GHCのスタッフの方と意気投合しまして…。

ー ありがとうございます! どういうところに意気投合されたのですか?

松本好市院長 一番は他施設とのベンチマークが一目瞭然にわかること。過去のデータを分析して云々ということが僕自身、性格的に苦手なもので…。前向き一本の性格なものですから(笑)。あとは人間的にフィットしたこと。

ー 昨年一年をかけてコスト削減のプログラムを行ったわけですが、最初は本当に成果が出るのか不安などありませんでしたか?

松本好市院長 いや、契約が「経費削減できなかったらコンサルフィーも見直します」という話だったので、特に不安はありませんでしたよ。実際、最初の段階で、循環器用のカテーテルや眼内レンズの見直しでドクターが協力してバンッと成果が出たじゃないですか。それがスタートダッシュになって、他の職員にも意欲が伝わったのが良かったよね。

ー 本当に職員の意欲が一番のポイントだったと思います。これは他の病院でも必ず起こるわけではないと思うのですが、なぜ貴院では可能だったのかなと…。

松本好市院長 わかりませんが、「病院長と一体感のある病院」だからだと僕は思うんです。こんなことを言うと自意識過剰のように思われるもしれませんが…。でも、これが一番大きいんじゃないかな。医局ですら「なんとかせなあかん!」という気持ちになってくれる土壌があるので。

ー 松本先生には言いにくいことを言っていただいたこともありますよね。リーダーの役割をカンペキにしていただいたことが成功の秘訣でもありますし、もう一つ、職員の方々と松本先生の距離が近いことも要因でしょうか。

松本好市院長 大学に30年間くらい在籍していて、そのうちの20年間くらいは医者の人事に苦労してきたので、そこで得たノウハウですね。

ー コスト削減というと後ろ向きに捉えてしまう方が結構いらっしゃいますが、貴院の場合、職員の方々がやる気を持って取り組んでくださった。結構、個性派が揃う集団だとは思いますが(笑)、それぞれが院長先生と同じ方向を向いていますよね。

松本好市院長 それは本当に有難いと、いつも感謝しています。ドクターに対しても怒るべきときには怒るけれども、その後のコミュニケーションを必ずとるように…。

ー 特にお酒を飲んだり…。

松本好市院長 まあ、僕はぜんざいですけれどね(笑)。

業者とも信頼関係のうえで成果発表会には各業者も参加!

ー 職員のみなさん、非常に前向きで明るいですよね。すごく印象的だったのが、コスト削減に向けて各業者さんとギリギリの交渉を行ってかなりの緊張感が走っていたものの、交渉が終わったあとにはまた明るく、仲間として接していたこと。ただ“叩く”のではなく、ちゃんとリスペクトをしているというか…。私が印象的だったのが、先生が「相手に対して『業者』という言葉を使うのはやめなさい」と話されましたよね。こんなの聞いたのは初めてでした。さらに、4月に行われた1億円削減達成の表彰式では、彼らにも集まっていただいて、壇上でそれぞれに表彰も行われていましたね。

松本好市院長 (各業界の)皆さん、プロですから。職員のなかには上から目線で無礼を言う人もましたが、かなり厳しく戒めました。だって、業者の皆さんがいてくれないと病院も困るわけでしょう。

ー ですねぇ。客観的なベンチマークデータを示すなど、丁々発止の交渉の末、コスト削減の一年が終わったときには、各業者さん側にも納得していただけたと思います。これはやはり、病院と各業者さんの信頼関係があったうえでの話ですよね。職員の方にとっても大きな体験になったと思います。今お話にあった表彰式の前に、まず2日間に渡って発表会がかなり盛大に行われましたよね。ほとんどの職員さんが参加されて、熱気に溢れていました。放射線部、薬剤部、検査部…と11部門から発表がありましたが、特に印象に残っているエピソードはありますか?

松本好市院長 院長の私自身が思いも寄らない成果が連発で、皆さんの努力に本当に感謝! 以前、検査の試薬などを見直そうという試みはあったんですが、なかなかうまくいかなかったんですよ。ところが今回はピシッと結果を出してくれました。

ー 最初はやはり厳しいご質問もいただいたのですが、説明を進めていくと技師長は「俺に任せろ!」と。そして、ある部署が目標を達成すると、別の部署でもとつながって、これはチーム一丸の勝利ですね。何より、皆さん、納得できるデータや分析があれば動く方々なのだと再認識しました。ところで、看護局からは「清掃」について発表があって、すべて業者任せにするのではなく、自分たちでできるところは自分たちで行うことで清掃区域の見直しによってもコスト削減を行ったという内容がありましたが、あの時の表彰状のタイトルは『院長も掃除機を買いま賞』でしたね(笑)、その後、掃除機は…?

松本好市院長 もちろん買いましたよ! 簡易掃除機でいつでも簡単に掃除が行えるようにと、立てかけてあります。

あれもこれも超一流はムリ

 

ー 一年間のコスト削減プログラムを経て、現在は新たなプログラムも進めさせていただいていますが、GHCに対する印象は変わりました? どんな印象でしょう?

松本好市院長 今のほうがもっと理想に近いよ! 何より誠実だよね。商売のためという感覚ではなく、職員の1人のようになって考えてくれているので、「誠実」という一言に尽きる。

ー 嬉しいですねぇ。ありがとうございます!

松本好市院長 だからこそお互いに何でも話ができるし、言いたいことを言えていると思う。もちろん、ベンチマークなど納得できるデータを出してくれるということも魅力です。

ー ありがとうございます。今後のGHCに対して期待することがあれば教えてください。

松本好市院長 経費削減って「一年で終わり」というケースも多いと思いますが、そうではなく継続的に続けていくこと、そして次に増収策を考えること、それらをサポートしてほしい。

ー われわれもコスト削減といってもそれだけが目的ではなく、病院を改善すること、そういう文化をつくることも含めて考えたいと常に思っているんです。では最後に、今後の先生のビジョンについてお聞かせください!

松本好市院長 医療改革が進められるなかで、地域から認められる特徴のある、そして医療レベルも高い病院でなければいけないと思うんです。いわゆる総合病院的な、百貨店的な、あるいはコンビニ的な考えは捨てて、大腸肛門病センターや健診などいくつかの柱を立てて、病院の方向性を職員全員で共有していく。各科にしても何が特徴か見極める。これに尽きますね。

ー 一つの病院で総合的に診るのではなく、地域全体で診るということですよね。

松本好市院長 あれもこれもすべて“超一流”なんて医者のマンパワー的にも看護師のマンパワー的にも不可能。当分は…10年、20年は無理ですから。あと、職員が愛せないような施設が発展するわけはないので、職員が働きやすい環境を整えることもトップの大きな役目です。特に、女医さんが増えていますし、病院はもともと女性が多い職場なので、結婚しても子どもが生まれて満足して働ける職場環境をつくろうということは常日頃意識しています。

ー 松本先生も職員皆さんをファミリーとして捉えていらっしゃいますし、職員の皆さんも一生懸命に自分のためだけではなく病院のために一所懸命ですよね。

松本好市院長 「よくぞここまでやってくれた!」という感じで、有難いよね。

ー そうですね。今日はお疲れのところ、ありがとうございました。


四日市羽津医療センター(旧四日市社会保険病院)
〒160-0023 三重県四日市市羽津山町10-8
TEL059-331-2000(代表)

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