事例紹介

2015年03月19日

本当に頭を使うべきところへ導いてくれる ツール ひと目で自院の立ち位置が分かるから現場が動く

病院名 福岡赤十字病院 設立母体 公的病院
エリア 九州地方 病床数 509
病院名 福岡赤十字病院
設立母体 公的病院
エリア 九州地方
病床数 509
コンサルティング期間 4年間(1807で解約)
病院ダッシュボードχ
  • ・DPC分析
  • ・財務分析
  • ・マーケット分析
ひと目で自院の立ち位置が分かるから現場が動く

1年足らずで重要な経営指標が改善

 平田氏:当課は、2014年4月に「企画調整課」から「企画推進課」に名称変更されました。経営改善に関するあらゆることを「調整」するのではなく、「推進」していくことが我々に与えられたミッションであると考えています。メンバーも一新され、医療情報管理課などさまざまな部署から5人が招集されました。

 病院ダッシュボードを導入したのは2014年8月のことです。実は病院ダッシュボードがリリースされて間もない2011年8月に熊本赤十字病院で行われた日赤経営分析研修会に参加して、その時から興味を持っていました。病院ダッシュボードは分析結果をすぐに表示することができて、しかもそれが分かりやすく、見やすかったからです。もう一つ、経営改善を提案する際に作成する資料作りにかかる時間を考えると、とても分析自体に時間を割けるとは考えられなかったので、経営改善に重要な指標があらかじめ決まっており、それらを瞬時に表示できるという使いやすさにも魅力を感じました。

 吉田氏:病院ダッシュボードのトップページは重要な経営指標が良いと青、平均レベルだと黄色、悪いと赤のシグナルで視覚的に分かるというデザインになっていますが、導入当初、その多くがあまりいい色で表示されていませんでした(笑)。ただ、最近のトップページを見ると、かなり改善されてきています。

 企画推進課では、2014年7月から毎月1回、診療科ごとに現状報告会を行っています。具体的には、在院日数などの重要な経営指標について、全国平均と比較した当院の立ち位置などを、現場の医療スタッフに知ってもらうという活動をしています。トップページに表示される重要な経営指標のシグナルが改善傾向に向かっているのは、こうした現状報告会で知ったデータをきっかけとして、各診療科で現場レベルでの改善やオペレーションの見直しを始めていることが大きいです。例えば、外科や整形外科などは、「もっと在院日数を短くできるのでは」とパスの見直しや術前の在院日数を短縮するための改善活動につながっています。

 平田氏:今後は個別に診療科ヒアリングを実施し、さらに踏み込んだ改善点の洗い出しやそのために必要なデータの提示などを行っていきたいと思っています。すでに現状報告会後に、「もっとこんなデータは出せないのか」と聞いてこられるドクターもいらっしゃいます。

2025年に高度急性期病院であり続けるために

 病院ダッシュボードの各種管理料・指導料などの加算の算定率をベンチマーク分析できる「チーム医療plus」をオプションサービスとして導入しています。当初は、当院のチーム医療にはまだ改善すべき点が多く、優先的に対策を練るべきだと考えていました。しかし、実際に病院ダッシュボードで分析してみると、多くの加算の算定率は平均以上で、想定していた以上にチーム医療が機能していることが分かりました。このように良い点、悪い点が明確になることはいいことだと思います。チーム医療が良いのなら、次に改善すべきテーマは何か、という問題点の抽出にも役立ちます。

 病床機能報告制度が始まったことを受けて、当院では2015年2月に病床再編を実施しました。2025年に向けて、当院が高度急性期病院であり続けるための準備が急務です。おかげさまで現状の当院の重症度・看護必要度は全病棟で大きくクリアできていますが、現状に甘えているわけにはいきません。地域医療構想が本格的に動き出し、医療提供体制の大幅な見直しが行われることが予想されることに加えて、福岡市内は医療機関の激戦区です。常に改善、進化を続ける病院であり続けなければ、生き残ることができません。

 今後もわれわれが分析に時間を割くのではなく、2025年に高度急性期病院であり続けるために何が必要で、何を改善すればいいのかを効率的に発見し、そのための対策に時間を割くためのツールであり続けていることに、期待しています。


福岡赤十字病院
住所:〒815-0082 福岡県福岡市南区大楠3-1-1
http://www.fukuoka-med.jrc.or.jp/