事例紹介

2015年03月30日

【病院事例】スピード感を求められる医療経営にマッチDPC特定病院群(DPCⅡ群)を目指し、診療密度と手術難易度を試算|府中病院

病院名 社会医療法人 生長会 府中病院 設立母体 民間病院
エリア 近畿地方 病床数 380
病院名 社会医療法人 生長会 府中病院
設立母体 民間病院
エリア 近畿地方
病床数 380
コンサルティング期間 7年間
病院ダッシュボードχ
  • ・DPC分析
  • ・財務分析
  • ・マーケット分析
  • ・外来分析

 病院経営に当たっては、スピード感をもって「どこが問題・課題なのか」を把握しなければいけません。その点、病院ダッシュボードは、問題点を瞬時に、かつ簡単に把握することができ、大きなメリットを感じています。
 また、ほかのシステムでは必要な情報を自分たちで探しにいかなければいけませんが、病院ダッシュボードデータでは、一目でマクロ的に必要な情報を見つけることができます。
 さらに、当院の田中院長が「色味が良い」と気に入った点も、導入の要素かもしれません(笑)。
 現在当院では、さらなる急性期機能の向上をはかり高度急性期病院、DPC特定病院群(DPCⅡ群)を目指しており、その手段として診療密度と手術の難易度のシミュレーション機能を中心に活用しています。
 現在、当院の病床稼働率は99%を超えており満床状態です。紹介や救急といった地域の医療ニーズのすべてに応えきれない状態で、在院 日数を短縮し、その医療ニーズに応えていく必要があります。
 その対策として、DPC分析チームが、全国の症例数上位50疾患について、他院と自院のベンチマーク分析を行っています。病院ダッシュボードに沿った統一フォーマットを用い、各診療科の医師はもちろん、院長も加わって、他院とのギャップを1件ずつ洗い出しています。
 そして、以前は専門の委員に任せきりにしていたパスを、各病棟で担当者を決め、病棟ごとに各職者が責任を持って作成・運用するようにしています。中には以前のパスを維持するケースもありますが、多くの病棟ではパスを見直して運用を行っています。
 病院ダッシュボードを用いれば「平均在院日数を1日短縮すればどれだけ診療密度が上がるのか」が明らかになります。この点を医師に見ていただき、どうすればよいかを医師自身に考えていただくことから始めています。
 もう一つの対策として前方連携と後方連携、職種間連携を積極的に行っており、院長をはじめ、医師や地域医療連携室、MSW、看護師が中心となり地域との関係性を構築しています。当院のある泉州二次医療圏には大学病院がありませんので、開業医の先生はもちろん、病院も地域で医療を支える地域連携の意識がとても強いと思います。

エビデンスを提示することで、医師自ら改善

 当院では、職員に「こうしてください」、「こうあるべき」という アプローチではなく、データを提示し、気づきを与え、 自分たちで考えてもらうスタンスでサポートしています。
 医師は科学者なので、データ、エビデンスをお見せすれば、自ら動いていただけます。  病院の方針として「職員の自律」を掲げていますので、それをDPCの取り組みにも落とし込むようにしています。

田中院長ら幹部の主導で、職種・診療科間の壁を取り払う

 先に述べた「職員の自律」に関連して、当院では、よく言われる「職種や診療科の垣根」がありません。
 例えば後発品を取ってみると、医師が「これは譲れない」という薬はもちろんありますが、薬剤師から「これは後発品に変えましょう」とイニシアチブをとりながら後発品使用を相互協力の下で進めています。医師と薬剤師がフラットな立場なのです。
 薬剤師に限らず、医師、看護師、メディカルスタッフ、事務も含めてすべての職種が対等です。当院がやや特殊な組織風土なのかもしれませんね。
 田中院長が2005年に就任しましたが、そこで「トップダウン」型の組織から「ボトムアップ」型の組織に大きく変わり始めました。
 田中院長は「人の力で病院が成長していこう」「人を育てよう」という思いが強く、当院では事務を含めて全職員が直雇用です。現場を大事にする院長のこうした考えが、職種間の壁をなくしていったのではないかと思います。
 さらに当院では情報共有を徹底しています。
 毎日、各部署の責任者による朝礼を行っており、そこで院長からご自身の思いや病院の方向性などが伝えられます。その後、責任者が部署ごとの朝礼で、院長の言葉を伝えます。
 さらに当院の文化と言えるかもしれませんが、FOCUSという紙媒体で、毎日、「患者数」や「その日のイベント」などを今日の病院の状況を共有しています。これを36年間続けており、すでに8700号を超えました。
 このような取り組みを続けることにより、すべての職員が病院の方向性を知ることができ、同じベクトルを向く事が可能になっていると思います。

初心者は「ケース分析」からスタートしては

 病院ダッシュボードを使い始めの職員には、まず他院との比較を行ってもらいます。疾患分析のツリー図の部分はとても分かりやすいですね。医師にはまず大きなツリーを見せます。すると、自然に「中を見せてほしい」となります。そこだけでも病院ダッシュボードを導入する価値があると思います。
 「ケース分析」は分析の視点が用意されているので、病院ダッシュボードに慣れていない病院では、こちらから活用してみるとよいかもしれません。
 疾患別の患者シェアについては、病院ダッシュボードの「エリア分析」機能を活用します。泉州は北部、中部、南部に分けることができ、北部の中核病院として当院があります。医師は「どのくらいの患者シェアがあるのか」に興味を持っていますので、そのデータを示し、患者獲得への戦略を地域医療連携室と共に行っています。


社会医療法人 生長会 府中病院
住所:〒594-0076 大阪府和泉市肥子町一丁目10番17号
https://www.seichokai.or.jp/fuchu/