事例紹介

2015年06月16日

病院が競争でなく“協奏”するための支援ツール 直感的にすぐ分かる、だから交渉が円滑に

病院名 宮川病院 設立母体 民間病院
エリア 関東地方 病床数 175
病院名 宮川病院
設立母体 民間病院
エリア 関東地方
病床数 175
コンサルティング期間 2年半
病院ダッシュボードχ
  • ・DPC分析
  • ・財務分析
  • ・マーケット分析
  • ・外来分析
  • ・チーム医療Plus
  • ・看護必要度分析

集患の課題と取るべき行動が瞬時に分かる

 これからの病院経営は、競争するのではなく、連携することが重要だと考えています。音楽の協奏曲のように、地域の病院同士が連携し合い、協奏曲を奏でるイメージです。
 病院ダッシュボードは、競争だけではなく、協奏するためのデータとポイントが分かるため、重宝しています。
 病院の経営改善には、平均在院日数の短縮と同時に、病床稼働率の向上が欠かせません。稼働率を高めるために何より重要なことは、いかに患者を増やすかということです。
 例えば、病院ダッシュボードのマーケット分析を見ると、当院の患者さんのほとんどが1―2キロ範囲から来院されていることが分かります。こうした状況が可視化されれば、当院の取るべき戦略は、いかにこの範囲外から集患できるかだということになります。
 そこで当院が取った戦略は、病病連携と公開講座です。病病連携は、まずは周辺の福祉施設との連携関係を構築した上で、急性期を脱した患者を受け入れ、その先にある出口となる福祉施設との連携があることを急性期病院に対してPRしてきました。公開講座では、例えばテーマを「床ずれと栄養管理」などとした健康づくり講座、これに健康相談・血圧測定コーナーなどを設置して、近隣住民が健康に関する悩みを医療従事者に直接相談できる場を設けました。

「エダラボンだけで購入費用の元が取れた」

 病院ダッシュボードは、重要な経営指標が良いと青、平均レベルだと黄色、悪いと赤のシグナルで視覚的に分かるデザインになっています。視覚的に分かりやすいシグナルで現場の先生方に現状を説明し、交渉できるため、こちらも非常に重宝しています。特に、DPCケース分析で脳梗塞のエダラボン使用においては、これが使えただけで病院ダッシュボードの購入費用の元が取れたと思えるほどの成果がありました。ベンチマーク分析による現場への説明で、エダラボンの平均金額を4万円程度と半額以下に抑えることができたためです。
 ベンチマーク分析を行い、その状況を現場の先生に説明してすぐに理解されればそれに越したことはありませんが、そう簡単ではないこともありますし、むしろそう簡単ではないことの方が多いです。そうした時に、重要な経営指標が分かりやすいシグナルですぐに把握できる病院ダッシュボードがあれば、現場との交渉の押し引きをスムーズに行う手助けにもなります。

医療の専門家と対話するためのツール

 例えば、DPCケース分析の心不全で、平均在院日数が赤、医療資源も赤、リハビリは黄色、特別食は青のそれぞれシグナルだったとします。その際、特別食が黄色から青に改善していたのであれば、まず「特別食が改善しましたので報告に来ました」と切り出すことができます。その改善の苦労を労った後に、「次は平均在院日数が目標ですね」と続けたり、シグナルが赤であるのを見せるだけであえてその場では何も言わず、自発的な改善行動を促したりというような交渉を支援してくれます。
 専門性の高い医療は、医療の専門家ではない事務方が経営指標の観点などから課題を指摘すると、反発を招くこともあります。無用な反発を招くことを極力避け、上記のような交渉ができるのは、病院ダッシュボードが直感的かつ誰でもすぐに分かるツールだからだと感じています。

最も重要なことは「医療の質向上」の視点

 ダッシュボードから得られるデータは多種多様で、まさに宝の山です。DPCデータだけに限らず、医事会計から得られるレセプトデータも併せて活用したいですね。そして、データを淡々と並べるのでなく、一つひとつ目的を絞って、できることからコツコツ始めることがこの宝の山を使いこなす最短の近道だと思っています。最後に、最も大事なことは、収入の改善だけではなく、医療の質を上げるために活用するという視点を忘れないこと。病院ダッシュボードというツールは、最終的にこのことを実現するために活用するツールだと思っています。


宮川病院
住所:〒210-0802 川崎市川崎区大師駅前2-13-13
http://www.miyagawa.or.jp/