お知らせ

2023.03.20

「働き方改革が始まる今こそ効果大のクリニカルパス改善を」、ToCoMでGHCが講演

東海地区の自治体病院がDPCデータをもとに治療内容などのベンチマーク分析を行う勉強会「東海地区自治体病院コンソーシアム(ToCoM)」の第36回会合が3月17日に愛知県名古屋市内で開催され(ToCoMの詳細はこちら)、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタントでアソシエイトマネジャーの太田衛が講演したのでお知らせします。

働き方改革を軸とした講演の中で、太田は「医師の働き方改革が始まる今こそ、最も改善効果が期待できるクリニカルパス改善を改めて見直してもらいたい」と訴えました。

リモート参加で講演する太田(右上)

リモート参加で講演する太田(右上)

業務改善・効率化や生産性向上も視野に

今回のToCoMでは、東海地方19の自治体病院が参加。太田は「コロナの影響・働き方改革にむけて」と題して講演しました。講演は、(1)新型コロナウイルスの影響(2)働き方改革(3)機能評価係数II――の大きく3つのテーマで構成しましたが、本稿では働き方改革に焦点を当ててご紹介します。

2024年度から「医師の働き方改革」が始まります。今年度は、「Xデー」に向けた最後の1年。この1年の対策次第で病院の経営は大きく変わる可能性があります。

働き方改革は、「やらなければならないこと」である法令順守から始まり、次いで勤務環境・負担軽減、業務改善・効率化、生産性向上の順に「やりたいが難しいこと」として難易度が高くなっていきます。

働き方改革

まずは法令順守がマストではあるものの、より本質的な「働き方の改革」を推進し、医療の質を担保しながら効率的な診療や業務を継続的に行っていくには、業務改善・効率化や生産性向上を見据えた取り組みも欠かせません。

具体的な業務改善・効率化や生産性向上について、タスクシフトやタスクシェアなども重要ですが、太田はもう一つの重要な視点であるクリニカルパスの改善にも目を向けるよう呼びかけました。

症例ごとにベンチマーク分析で再検討を

例えば、婦人科手術(子宮全摘術)の術前処置の浣腸実施率についてベンチマークすると、ほぼ半数が実施していないという結果です。一方で、3分の1が実施しています。

すべての症例に言えることではないかと思いますが、多くの症例で必ずしもこれら浣腸やネブライザーが必要でなければ、業務見直しに伴う積み上げにより、大きな業務改善効果が期待できます。

こうしたベンチマーク分析に基づくパス改善はこれまで、コスト削減の効果を期待して検討することが多かったかもしれません。これについて太田は、「働き方改革を進める上で、パス改善は診療部門の業務量に直結する。働き方改革がスタートする今こそ、『業務量を減らすため』という視点で今一度、さらにパス改善ができないか検討いただきたい」と強調しました。

各病院がDX事例を紹介

当日は各病院がDX(デジタル・トランスフォーメーション)事例を紹介。岐阜市民病院は「AI問診」、小牧市民病院は「患者利便性向上のためのスマートフォンアプリの導入と評価」、豊橋市民病院は「患者さんの待ち時間削減に向けた診療費後払いシステム『待たずにタク~だ』」と題して講演しました。

太田 衛(おおた・まもる)

株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。診療放射線技師。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程を修了し、大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHCに入社。地域連携、病床戦略、DPC分析を得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードχ」の設計、マーケティング、カスタマーサポートを担当。新聞や雑誌の取材・執筆多数。