2013年01月23日
病院名 | 徳山中央病院 | 設立母体 | 公的病院 |
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エリア | 中国地方 | 病床数 | 507 |
病院名 | 徳山中央病院 |
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設立母体 | 公的病院 |
エリア | 中国地方 |
病床数 | 507 |
コンサルティング期間 | 1年間 |
コンサルティング |
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徳山中央病院(一般病床482床、第二種感染症病床12床)は、2011年4月に救命救急センターの運営を開始し、山口県周南二次医療圏の基幹病院として救急医療に注力している社会保険病院です。365日24時間すべての救急患者に対応したER(救急室)を運営している同病院では、一次救急はもとより二次医療圏における二次・三次救急患者における救急車の約50%を受け入れています。弊社では、2012年3月よりアソシエイトマネジャーである古谷満希恵がコンサルティングをスタート。院内の各部署の協力を得て医療材料のコスト削減などを実現しました。
今回は、優良病院として地域でも評判の高い同病院の病院経営にかかわる取り組みについて林田重昭院長(手前真ん中)、宮下洋副院長(手前右)、小川宏副院長(手前左)、田中浩二事務局次長(奥左)にお話しをうかがいました(文中、敬称略、インタビューは2013年1月、役職等は当時)。
ー 貴院は社会保険病院のなかでも良好な経営状態を維持されていると思いますが、その理由は何でしょうか。また、そうしたなかで弊社にコンサルティングをご依頼くださったのはなぜでしょうか。
林田重昭院長 地域に求められる使命を果たそうと一生懸命努力をしていたら、経営状態も自然に良くなりました。経営戦略という面では、従来から病院独自で薬や医療材料等の価格交渉を実施していました。今後は色々な情報を分析して、適切な価格での購入がもとめられると思います。そうして得られた収益は、最新の医療機器を購入するなど、より良い医療が提供できるように再投資をし、地域に還元することが大切だと思っています。そのためにも経費削減への取り組みは必要不可欠だと考え、コンサルティングを依頼しました。
ー ありがとうございます。弊社が実施したベンチマーク分析や医療材料に関する分析への院内の反応はどうでしたか。
林田重昭院長 ベンチマーク分析の結果、自院の立ち位置が明確になりました。自院が他の病院に比べてすぐれている点や不足している機能も、非常に明確に理解することができました。分析結果を医師等のスタッフに見せるだけで、自分達の強みや弱みに対する取組みが始まったように感じています。
田中事務局次長 医療材料を購入する際の価格交渉においては、新たにベンチマークデータなどの情報を活用することが必要と感じてコンサルテーションをお願いしたわけですが、GHCが提供する資料はデータ量が豊富で大変参考になりました。ベンチマーク分析を通じて他病院の購入量と購入価格の分布が一目で分かり、それに基づいて当院での購入量に見合った価格交渉をすることができるようになりました。
ー 医療材料メーカーと価格交渉をするうえで、材料価格に関する情報収集は不可欠だと思います。
林田重昭院長 高額医療材料を購入する際に、これまでの院内だけでの検討・交渉から、データに基づいて他病院と比較し客観視することが大切と思い、GHCにご相談させていただいたわけですが、提示された分析データは非常にわかりやすく有益でした。感謝しています。
ー 医師不足に悩む病院が多いなかで、貴院は医師数が充実されているように感じますが、人材を確保するための工夫などはされているのでしょうか。
小川宏副院長 日頃から新しい医療機器や新薬の使用など、地域のために医師がやりたいと思う医療を自由にできる環境を整えるように努めています。そうした環境を整備することによって、自然とやる気のある優秀な医師が集まってきたように感じます。
ー 医師が働きやすくチャレンジしやすい職場なのですね。
小川宏副院長 医師にとって当院ほど働きやすい職場はないと思います。医師と看護師や事務などのメディカルスタッフとの関係も良好です。看護師をはじめとしてすべてのセクションが、患者により良い医療を提供するために非常に協力的です。
宮下副院長 教育病院としては、最低限当院程度の規模がないと難しいと考えています。当院には各科に多くの専門医・指導医がおりますので十分な指導もできていると思います。今後はさらに実績を積み上げ、内科系・外科系でそれぞれが支えあい、若い医師が研修しやすいように環境を充実させていきたいと考えています。
ー 医師が成長するためには多くの患者の治療を行うことが必要だと思いますがいかがですか。
小川宏副院長 個々の医師の能力は、周囲の環境で変わってくるものだと考えています。環境が良いのに医師の能力が上がらないことはありません。当院は患者数も多く、平成23年度のベッド稼働率は102.1%です。多くの患者が来る病院では、医師の経験がより多く蓄積され、自然とその病院の医療レベルも上がります。今、当院はそういう良い時期にあります。医師の診療レベルは確実に向上しています。
ー 開院当初から患者が集まる病院だったのでしょうか。
林田重昭院長 そんなことはありません。暇だった時期もあります。そこで救急患者は絶対に断らないようにしていたところ、地域の信頼を得ることができ、患者さんも病院へ来てくれるようになりました。
田中浩二事務次長 「救急患者は断らない」という当院の伝統は、今でも現場のスタッフに受け継がれています。当院の医師のほとんどは、病院から10分程度の場所に住んでいますので、例えば深夜の急性心筋梗塞での緊急PTCA治療や、脳梗塞でのt-PA治療なども30分程度で開始できるなど全科のオンコール体制も充実しています。そうした取り組みの積み重ねが、近隣の開業医との信頼構築へとつながっていると考えています。
ー 患者が増え、医師のレベルも上がり、さらに患者がくるという好循環でまわっているのですね。
小川宏副院長 はい。現在は、開院当時の2倍くらいの速度で働かないと、まわっていきません。若い医師も昔よりもよく働いてくれています。私は、若い医師でも重要な役割を与えることによって、そのポストに見合うだけの仕事をしようと努力してくれるものだと考えています。つまり、「ポスト」が人をつくり、成長させるのです。
ー おっしゃる通りだと思います。
小川宏副院長 それが良い医師を育て、人材育成に役立っていると感じています。
ー 今後はどのような医療を提供していきたいとお考えですか。
宮下洋副院長 現在、標準以上の医療を提供できていると考えています。次は、本当の意味での「良い医療」を考えていかなければならない時期がきたと思っています。一定レベルの医療を提供できるようになって、ひと安心ということではなく、次のステップとして、地域から「一流の病院」と思われるように努力していきたいと考えています。さらに、一流の病院で働いているすべてのスタッフが「一流」と評価されるレベルになりたいと考えています。
ー 現状のままで、レベルアップしていけば、スーパードクターと呼ばれるような優秀な医師も生まれてくるかもしれませんね。
小川宏副院長 そうですね。スーパードクターを育てる土壌はできたと考えています。しかし、必ずしも1人のスーパードクターが重要とは考えていません。当院では、優秀な人材を確保するためにも、研修医に“当院で研修を受けたい”と思われるような選ばれる病院にしていきたいと考えています。今は診療科別にみると医師のレベルにばらつきはありますが、今後は全体的にレベルアップをさせたいですね。
ー 理想とされる病院を実現させるために、具体的にはどのような対策を検討されているのでしょうか。
田中浩二事務次長 ハード面ではさらなる医療機器等の設備投資、ソフト面では教育体制や働きやすい職場環境の見直しなどを通して、院内・院外の体制づくりは必要不可欠だと考えています。一流の病院にするためには、病院管理者が明確に方針を打ち出し、病院全体での支援体制が重要だと考えています。まずは一流の土壌づくりです。今後は、個々の医師や医療スタッフの努力と奉仕精神だけでは限界があると思っています。
ー 最後に優良病院である貴院が考える「魅力的な病院」についてお聞かせください。
林田重昭院長 魅力的な病院は、その病院で働いているスタッフや地域に住んでいる患者さん「みんな」を幸せにできる病院だと考えています。そうした選ばれる病院をつくっていくために一番大切なことは、患者さんの満足が医療スタッフの満足にもつながっていること。病院のスタッフ皆がそちらを向いて働くことができれば、日々の大変な業務もやりがいに通じ、結果がついてくると考えています。医療と経営の質、そして患者さんの満足度において、中国地方でトップをめざしていきたいと考えています。
ー 医療と経営の質を向上させるためにはどのようなことに取り組んでいきたいと考えていらっしゃいますか。
田中浩二事務次長 EVEに搭載されている臨床指標データ等を活用してアウトカム評価と分析のPDCAサイクルをまわし続けることによって、今後は、医療の質と経営の質の向上にむけて支援をしていきたいと考えています。
ー 弊社も貴院のために全力でお手伝いさせていただきます。本日は、お忙しいところ貴重なお時間をいただきありがとうごいざいました。
広報部 | |
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