事例紹介

2014年04月26日

将来ビジョンは“都市型”高度急性期 GHCの経営支援が病院改革に一役

病院名 東京医科大学病院 設立母体 民間病院
エリア 関東地方 病床数 1015
病院名 東京医科大学病院
設立母体 民間病院
エリア 関東地方
病床数 1015
コンサルティング期間 1年間
コンサルティング
  • ・診療科パスアセスメント

東京中心部の基幹病院としての役割を担う東京医科大学病院(新宿区)は、前立腺がんのロボット支援手術「ダヴィンチ」を2006年、国内でいち早く導入したことでも知られています。創立100周年を2年後に控え、同病院が描く将来ビジョンは“都市型の高度急性期病院”。これに向けて現在、新病院の建設工事が急ピッチで進められています。GHCのコンサルティングは2012年末、循環器内科など2診療科でスタート。現在までに8診療科で実施し、今後も広がる見通しです。コンサルティング開始から1年以上が経った4診療科ではいずれも増収幅が拡大するなど、成果が見え始めています。

ー 数あるコンサルティング企業の中から、GHCを選んだきっかけを教えてください。

坪井良治院長 大学が運営する茨城や八王子の医療センターでGHCのコンサルティングを先行導入していて、本院でも導入を薦められました。そこで、(米国グローバルヘルス財団理事長の)アキよしかわさんに当院までプレゼンに来ていただき、すぐ採用を決めました。GHCのコンサルティングがスタートしたのは12年末のことです。

ー アキのプレゼンはいかがでしたか。

坪井院長 東京都内のどの地域からどのような患者さんが来院されているかなど、豊富なデータを使い視覚に訴える内容でした。生データをうまくビジュアル化すると、病院の状況がまた違って見えて来ると 実感しました。

吉田長司事務部長 同じ資料でも、われわれのような事務職員が提示するのと、プロフェッショナルの第三者が提示するのとでは、受け手の真剣さが全く違います。

スタッフの意識に変化、院内に波及効果も

ー 貴病院では当初、どのような点が課題だと認識されていましたか。

坪井良治院長 DPCの仕組みを院内に周知し切れておらず、どうすればコストを削減できて収入を増やせるのか、理解度が決して高くありませんでした。こうしたことは、われわれ幹部だけが理解していてもしようがない。実際に改善に取り組むのは現場の若い医師たちだから、こうしたことを常に意識させる必要があります。

吉田長司事務部長 ある診療科では、ほかの大学病院に比べて在院日数が長く、その解消が大きな課題でした。どこに問題があるのかをGHCに分析していただいた結果、当院では土日を挟む入院が多いことが分かりました。こうした課題に対応できたのは、非常にありがたかった。
GHCによるコンサルティングはこれまでに、循環器内科、消化器外科、消化器内科、整形外科の4診療科でスタート1年を迎えました。これら診療科全体での平均在院日数は、2012年7-12月の14.2日から翌年同期には13.9日まで短縮。4診療科すべてで増収を実現し、これらの診療科全体では、1年間に換算して7900万円分の増収インパクトを引き出しました。

坪井良治院長確保できた増収分を考えれば、コストに十分見合う改善指導でした。

ー 院内の雰囲気は変わりましたか。

市川裕介経営企画・広報室専門員 コンサルティングを導入した診療科からは、「こういうときはどうすればいいのか」「この数字をもっと詳しく見たい」といった問い合わせが私たちの所に来るようになりました。その際は、自分たちで「病院ダッシュボード」を使って確認するようにと伝えています。

吉田長司事務部長 経営改善を指導していただいた診療科の中にも、増収幅には差があります。診療密度の差や患者さんの多寡も影響しているでしょう。GHCのコンサルティングがどれだけ増収につながったのか、明確に仕分けるのは難しいところです。ただ、病院の運営を改善するには多面的な取り組みが必要です。院長のリーダーシップが最重要なのは言うまでもありませんが、GHCのベンチマーク分析も切り口の一つとして非常に大きな効果があったと感じています。

坪井良治院長 GHCのベンチマーク分析を各診療科との面談の資料に使わせていただいています。コンサルティングを導入していない診療科にもこの手法を取り込むことで、院内全体に波及効果が広がりました。

急性期後のギャップ解消がテーマ

14年度診療報酬改定では、医療機能の分化・連携がテーマになりました。自病院の医療機能を都道府県に報告する新たな制度も年度内にスタートする見通しで、それぞれの地域でどのような役割を担っていくのかを明確にすることが、医療機関にとってますます重要になります。前立腺がんのダヴィンチ手術をいち早く導入したことで知られる同病院では、どのような将来ビジョンを描いているのかを伺いました。

坪井良治院長 われわれの将来ビジョンは、東京の中心部にある都市型の高度急性期病院としての役割を担うことです。ただ、周辺に連携病院が少なく、このギャップをどう埋めるかが重要なテーマです。3年半後には新病院への移転を控えていて、その後に現在の病棟をどう使うかは、これからの医療行政の流れを見極めて決めます。保険診療だけでなく検診のような予防医療の強化も視野にあり、移転後は、現在の病棟で検診センターとしての役割を担うことも選択肢の一つでしょう。

GHCのコンサルティングにはどのような改善を期待されますか。

吉田長司事務部長例えば同じ特定機能病院の中でも、機能評価係数Ⅱが低い病院と高い病院とがあります。DPC対象病院に適用される調整係数が段階的に移行されるのに伴って、診療報酬に占める機能評価係数Ⅱのウェートは今後、ますます高まります。病院や病床機能の分化もこれから本格化するだけに、われわれがどのような機能を強化すべきなのか、指導していただけるとありがたい。

坪井良治院長DPCだけでなく、診療報酬全体を踏まえたコンサルティングがあってもいいでしょう。例えば、外来診療などDPC以外の切り口からのアプローチがあれば、病院全体の経営改善を図る上で有効なはずです。コンサルティングによる結果のフォローも大切です。今回は、コンサル開始1年後の節目に診療科ごとの実績を説明してもらいましたが、これによって現場の士気が高まり、非常に良かったと思います。費用を上乗せして、実績をより詳しく評価してくれるようなプランがあると、なお良いでしょう。

ー 今日はどうもありがとうございました。


東京医科大学病院
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