2010年08月24日
病院名 | 岐阜市民病院 | 設立母体 | 公立病院 |
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エリア | 近畿地方 | 病床数 | 609 |
病院名 | 岐阜市民病院 |
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設立母体 | 公立病院 |
エリア | 近畿地方 |
病床数 | 609 |
コンサルティング期間 | 1年間 |
コンサルティング |
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2009年12月からDPC関連支援を中心にGHCのコンサルティングサービスを導入された岐阜市民病院。4ヶ月間で各診療科のパスアセスメントを終え、2010年4月からは、部門別ミーティング、経営分析トレーニングなど、院内全体の改善に取り組んでいます。プロジェクトリーダーを務めるGHCマネジャーの相馬理人が、同院院長の冨田栄一先生、副院長の種村廣巳先生、診療情報管理室の牧野直美さん、浅野美幸さんにお話をうかがいました。(文章中、敬称略)
種村廣巳先生 正直なところ、コンサルティングを導入する前は若干、抵抗がありました。利益追求型になるのではないか、質をないがしろにしないか…と。でも、実際はそうしたことはまったくなく、「ベンチマークではこうなっています」と、ほしい情報、ポイントをついたデータを淡々と提示していくだけ。とはいっても、知識を持っている第三者から有益な情報を提示してもらうことで、院内の職員の意識が変わりました。
ー コンサルティングを導入する以前は、診療情報管理室の牧野さん、浅野さんがデータを持って各診療科を回っていたんですよね。
牧野直美さん そうですね。しかし、身内というのはやりにくい部分があります。データを見せても「○○だから難しい」といわれれば、引き下がるしかなかったり、それを説得できるだけのエビデンスとなるデータを持っていないため、突っ込まれると弱い。診療科医師の中にはもともとDPCのことを勉強している人もいて、それ以上の知識をもっていることが必要です。院内を1つの方向に意識づけするにはコンサルティングの力がいると感じました。
浅野美幸さん 診療科のラウンドを始めた当初は、医師からは「病名に対して文句をつける人」と思われていました。私たちは「こうしたほうが良いですよ」と伝えたいのに、なかなか理解をしてもらえませんでした。
牧野直美さん まずは自分たちが意識を変えることが必要と考え、乃木坂スクール(国際医療福祉大学院)やいろいろな研究会に参加させてもらい、勉強しました。
ー ただ、牧野さん、浅野さんという、看護師であり、医療現場をわかっている二人が病名のチェックを行っていること、また、診療科別のパスアセスメントミーティング毎回同席してくださった冨田院長、種村先生のサポートはとても大きかったです。コンサルティングによって大きく改善するかどうかの違いは、やはりそこにありますから。そして、先生の「フィードバックシート」は良い意味で衝撃的でした。
種村廣巳先生 相馬さんが出してくれた診療科別の改善点をエクセルにまとめて、それぞれに対して、①改善できるか否か、②改善できるのであれば具体的なアクションプラン、③改善できないのであれば、その理由――を各診療科に提出してもらいました。DPCを始めた当初、DPCは病院経営のためのツールだと大きく誤解している職員が多かったにもかかわらず、全診療科からシートはちゃんと記入されて返ってきており、その内容をみても、相馬さんからのコンサルティング後、DPCに対する職員の意識が大きく変わったなあという印象でした。自分自身も含めてですが、特に他病院比較によるベンチマークの重要性がわかってきたような気がします。
ー 昨年12月から3月にかけての診療科別のパスアセスメントミーティングが一旦、終わり、今年度からは新たに部門別ミーティングをいっています。今回、「部門」を意識されたのには、何か理由がありますか。
種村廣巳先生 1つは、薬剤管理指導料の算定率が他の病院に比べて低いとわかったこと、もう1つは7対1入院基本料に対して強い思い入れがある一方で、なかなか解決策を見出せずにいたことです。
ー 7対1入院基本料に関しては、10月1日から算定が可能になりそうですね。そのほか、看護部門では、関連する各種加算の算定状況を改めて見直し、算定強化に向けて取り組み検討を行ってもらっています。
種村廣巳先生 はい。部門別ミーティングを始めたことで、リハビリテーションに対する認識も改められました。術後のリハビリテーションは看護師が行うものと考えていましたが、リハスタッフが対応することで出来高収入分の増加につながることをGHCより教えていただきました。
ー ベンチマーク分析も、すべての病院と比較するのではなく、特定の病院にフォーカスして比較し、意見をもらうなど、次のフェーズに入ってきているかもしれませんね。また、今後は「経営分析トレーニング」を通して院内の職員のレベルを底上げすること、変動費を下げるために「材料コスト削減」に取り組むことが次のステップですね。
種村廣巳先生 そうですね。DPCコード別に原価計算を行って、診療科の方向性を定めることも必要と考えています。今までは、医業収益だけを見ていましたが、医師の中には民間病院を渡り歩いた後に当院に赴任した人もいるため、労働生産性を適切に評価してほしいといった声も、一部からは上がっています。
ー 今後も、俯瞰的な視点を持ちつつ、今、何にどのように取り組んでいるのか、お互いに共通認識を持って進めていきたいと考えています。
ー 昨年12月からコンサルティングを始めました。
冨田栄一先生 コンサルティングを導入して一番良かったことは、やはり、“横の比較”ができるということです。時系列で院内のデータを比較すること、公表されているデータと院内のデータを比べることはできますが、病院の壁を越えて全国の病院と比較することは、自分たちではできません。 また、もう一つ大きいのが、原価計算。実は院内でもデータを把握していますが、コストをどう按分するかによって診療科ごとの損益が大きく変わってしまいます。どの按分係数を使うかによって、どこかに矛盾が生じたり、どこかが不利になったりしますので、データはごく限られた人のみで共有していました。しかし、GHCの場合、全国の医療機関に対して共通した同じ配賦基準を用いているわけですから、不公平感が払拭されます。それが良いですね。
ー 従業員一人当たりの医業収益は全国的に比較しても、非常に高いです。次は、スタッフの専門性が関与する、付加価値を上げることが重要ですね。
冨田栄一先生 一人当たりの生産性が高いということは、スタッフ一人ひとりが非常にがんばっているということ。薬剤師やリハビリスタッフなど、増員することも考えるべきかもしれませんね。 今、部門別ミーティングに続いて、事務職5名を対象に経営分析トレーニングを始めてもらいましたが、「戦略まで考えられる」スタッフがほしい。たとえば、近隣に競合施設が建ったときに、当然、患者の一部が流れることは予測されますが、そのうち戻る可能性のある患者はどのくらいなのか、どうすれば戻すことができるのか、といったマーケティング戦略なども含めて考えられるスタッフ。今は、私や両副院長など病院幹部で考えているので、プランナー、戦略がほしいですね。
ー 先生がめざされている病院のあり方とは?
冨田栄一先生 心にひびく医療です。別の言葉に言い換えるなら、「病院版ディズニーランド」。提供するモノも、そこにいる人も素晴らしいのがディズニーランド。やはり、職員がいかにいきいきと、高いモチベーションを持って働けるか、が一番大事です。そのためには、給与などの条件だけではなく、「評価されている」「存在意義がある」という実感が重要。 客観的なデータで組織を把握する一方で、基本は人を大事にすること。なぜなら、私たちがやっているのは医療です。体を治すのではなく、人を治すということ。ただ一方で、DPCをはじめ、制度の変化をきちんと把握し、対応することも大切ですね。健全な病院経営の下にあるからこそ、そうした本質の部分に目を向けられるのですから。
岐阜市民病院
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