2015年10月19日
病院名 | 諏訪中央病院 | 設立母体 | 公的病院 |
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エリア | 甲信・北陸地方 | 病床数 | 360 |
病院名 | 諏訪中央病院 |
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設立母体 | 公的病院 |
エリア | 甲信・北陸地方 |
病床数 | 360 |
コンサルティング期間 | 7年間 |
「改善ポイントが瞬時に分かる」をコンセプトにGHCが開発した次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザー会が9月30日、東京都内で開催されました。主に関東圏の21病院から計30人が参加し、病院ダッシュボードの操作方法や活用事例などを共有しました。
活用事例としては、諏訪中央病院の経営戦略室の杉田勇氏(写真)が「経営戦略室の役割と活動-病院ダッシュボードを活用して-」と題して講演。経営戦略室を軸に、院内の全部署を巻き込んだ経営改善活動を推進したことで、年換算で1億4000万円のコスト削減に成功した事例などを紹介しました(諏訪中央病院のコンサル事例紹介『経営の質と医療の質とのバランスの整った「あたたかい急性期病院」へ』)。
諏訪中央病院は、長野県茅野市にある360床(一般病床315床、医療療養病床45床)の病院。救急入院患者の割合が高く、ベッドコントロールが難しい経営環境にあることなどが主な特色です。
こうした中、従来は経営幹部らによる会議で経営方針を議論していましたが、明確なプロジェクトの決定や現場のスタッフの行動変容に結びつきづらい状況でした。職員もコスト意識など経営関連のことに疎く、現状を打破するプロジェクトチームを結成することにしました。そのチームが、経営戦略室です(関連記事『結果を出しやる気も高める「本気のコスト削減」7つのステップ』)。
経営戦略室は、院長直下のプロジェクト委員会の1つという位置付けで、構成メンバーは副院長のほか診療部、看護部、薬剤部、技術部のスタッフ各1人、事務部のスタッフ3人(医事課、企画財政係、診療情報管理士)の計8人。病院の各部署から集まった少数精鋭で、院内のさまざまな改善活動を推進していきます。具体的には、各診療科に個別でクリティカルパスの改善を呼び掛けたり、院内全体にかかわる改善活動の企画立案から周知をカバーしたり、あらゆる改善活動に柔軟に対応しています。
2012年4月の立ち上げ当初こそ、改善活動への協力に応じてもらえないこともあったようですが、少しずつ成果が出始めて経営戦略室の存在が院内に浸透し、「院内にコスト意識が芽生え、『経営戦略室が言うから協力しなくては』との雰囲気が浸透し、職員の中からコスト削減につながるような提案が出てくるようになった」(杉田氏)といいます。
その結果、13年度はコスト削減に関する改善活動で年換算1億4000万円の改善効果を生み出し、クリティカルパスの改善や後発医薬品への切り替えなども進めました。
講演では、クリティカルパス作成や特別食加算の算定割合向上など具体的な事例も紹介されました。
クリティカルパスの作成では、内視鏡的胃粘膜切除術を紹介。具体的には、(1)術前・術後日数(2)PPI H2ブロッカー(3)止血剤(4)術日・術後の画像検査-の4つの切り口で見直しを進めました。
担当診療科の医師に相談したところ、術前・術後日数の短縮と後発薬への切り替えには快諾を得ましたが、止血剤の見直しには難色を示され続けました。もう1つの画像検査の見直しには応じてくれたこともあり、止血剤の見直しは見送りました。杉田氏は、「ベンチマーク分析のデータだけで押し切ろうとするのには限界もある。どこまで押し、どこで引くかを見極めることが重要」と、データに基づいた要求をすべて通そうとせず、引く所は引き、快く協力を取り付け、次の改善活動でも協力してもらえる関係作りも重要だと指摘しました。
特別食加算についてはまず、栄養科へのヒアリングを実施。管理栄養士は「医師からのオーダーには100%対応しているが…」と、当然すべて算定できているだろうと思っていた様子で、困惑気味な反応だったといいます。そこで、医師にヒアリングしたところ、オーダー漏れが確認できたため、電子カルテと連動して特別食をオーダーする仕組みを導入。特別食加算の100%算定を実現させました。
ただ、直近で特別食加算の算定状況を確認したところ、算定率が当初の水準に下がってしまったことが判明。「いったん仕組みを作っても、人が変わると元に戻ってしまうこともある。そのことを前提に定期的に状況を確認することが必要で、病院ダッシュボードを活用すれば、そういう変化も瞬時に把握することができる」としました。
杉田氏は最後に、病院ダッシュボードを活用して現状を見える化することで、「すべての病院スタッフが現状を客観的に把握してくれるため、感覚論や思い込みに頼った議論を減らし、有効な議論が行える」と講演を締めくくりました。
広報部 | |
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