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2013年12月02日

中医協総会 重症度・看護必要度15%要件 改定後約3割が満たせず

2013年ももう12月です。「1年、早いね」なんて言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。 2014年度診療報酬改定についても、具体的な内容を決めている中医協総会での各議論が大詰めを迎えています。先週は27日(水)、29日(金)に入院医療等の調査・評価分科会からの報告内容をもとに入院医療に関する議論が行われました。 27日(水)は、「一般病棟入院基本料」の要件のなかで見直しが検討されている「重症度・看護必要度項目」や「亜急性期入院医療管理料」の見直しなどについて話し合われました。なお、27日(水)は、中医協委員の合意が確認された議題はありませんでした。 29日(金)は、医療提供体制が十分ではないものの、地域において自己完結する医療を提供している医療機関に配慮した評価内容と入院医療や外来診療の機能分化の推進や適正化に向けて検討しました。 27日(水)のポイントは、「重症度・看護必要度の見直し案」と「亜急性期入院医療管理料」の要件に関する議論でしょう。 まず、「重症度・看護必要度」は下記3点が新たに提案されました。 1「計画に基づいた10分間以上の指導・意思決定支援」という項目は追加しない 2「救命救急入院料」を算定する治療室がある病院の7対1入院基本料の一般病棟用の重症度・看護必要度の基準該当患者割合を15%以上とすること 3「重症度・看護必要度」という名称を「重症度、医療・看護必要度(仮称)」とすること 上記3点に関しては、中医協各委員から、目立った反論はなかったので、このまま導入となる可能性が高いと思います。 示された資料によると、調査対象となった7対1入院基本料算定病院のうち、改定前(現行の基準)だと82.4%の病院が15%基準をクリアしていましたが、項目の改定後に15%基準をクリアしている医療機関の割合は、56.5%とのこと(1、2)。これは、項目の改定により、25.9%の医療機関が改定後の項目を満たせなくなったということです。7対1を算定している病院では、本改定による影響をシミュレーションする必要がありますね。 これに対して、診療側委員から「約3割が満たせなくなる。現場が混乱しないように、急激な変化にならないような配慮をしてほしい」といった主旨の意見もあり、経過措置が取られる可能性もあります。 12m2dfig1 図1 出典:第260回中央社会保険医療協議会 総会(11月27日開催) 厚労省配布資料 「入院医療(その5)」P41より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000030939.pdf 12m2dfig2 図2 出典:第260回中央社会保険医療協議会 総会(11月27日開催) 厚労省配布資料 「入院医療(その5)」P42より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000030939.pdf 一方、「亜急性期入院医療管理料」については、現行の基準が「病室単位」で評価されているため、本来対象とすべき患者のために活用されていない可能性があることを厚労省事務局は、資料とともに指摘。機能分化を推進させていくためにも、改定後は「原則、病室単位の評価は行わず、病棟単位の評価とすること」を強調しました。病棟単位になると、急性期病床より看護配置を下げることが可能となるため、より活用しやすくなるかもしれません。 さらに、「亜急性期病棟の要件」案としては以下の5点を提示。 1二次救急病院の指定or在宅療養支援病院の届出 2在宅復帰率等 3新規入院患者のうち重症度・看護必要度A項目1点以上の患者が回復期リハビリテーション病棟入院料1と同程度であること 4原則として6.4㎡/床であること 5亜急性期病床の果たす役割、機能を継続的に把握する観点から、提供されている医療内容に関するデータの提出を求めること本来対象とすべき患者」について、厚労省の意向がこの要件に盛り込まれてきていますね。亜急性期病床がある、または検討している医療機関の皆様は、どのような患者が多く同病床を利用している(する)のかを見直しておいたほうが良いと思います。 また、亜急性期病床を持たない医療機関も含め、注意しなければならないケースは、一般病床に急性期から慢性期まで幅広い病態の患者を入院させているうえに、平均在院日数が長い医療機関です。 そうした医療機関は、平均在院日数を短縮するための解決策として、亜急性期病棟の導入を選択肢の1つとして考えてみても良いでしょう。 GHCでは病床機能策定支援サービスも提供しております。詳しくはプレスリリース(/wp-content/uploads/page/1780/131120_kinoubunka.pdf )、あるいは下記までお問い合わせください。 病床機能策定支援サービス 問い合わせ先 bed@ghc-j.com(担当コンサルタント 三浦) 今回の議論でも争点となった重症度・看護必要度に関して、GHCでは、「看護必要度データ精度向上プログラム」サービスを提供しています。 ご興味のある方は下記をご覧ください。 /service/kango 【参考資料】 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000030939.pdf 第260回中央社会保険医療協議会 総会 厚労省配布資料 「入院医療(その5)」 【お詫びと訂正】 2013年11月15日のブログ(「中医協・DPC評価分科会 機能評価係数2で、後発医薬品の使用割合を評価」/date/2013/11/15)内におきまして、後発医薬品使用割合の計算方法の記載に誤りがございましたので、訂正を行いました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。