GHCブログ

2014年08月27日

前立腺がん手術、在院日数最短はダヴィンチ、合併症発生率は?―第10回CQI研究会

 DPCデータや臨床指標を使って参加病院のがんの診療プロセスを分析し、実名でベンチマークするCQI研究会が23日、神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で開かれました。2年ぶり10回目の開催となる今回は前立腺がんと大腸(結腸)がんをピックアップ。前立腺がん手術では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」によるものが「開腹」「内視鏡」などに比べて平均在院日数が短い傾向にあることが分かりました。

■合併症発症率、有意差認められず

 今回の分析には全国の88病院が実名で参加、当日のディスカションには66病院の関係者100人以上が駆け付けました。前立腺がんと結腸がんの分析は、88病院を2013年10月-14年3月に退院した患者のDPCデータが対象で、手術の術式や病院によって平均在院日数などに差があるかを検証しました。

 前立腺がんでは、すべての症例に開腹で対応している病院が過半数を占めましたが、ダヴィンチや腹腔鏡のほか、身体への負担を軽くするため切開を最小限にとどめる「小切開」で全症例に対応する病院もそれぞれありました。

 そこで術式ごとの平均在院日数を分析すると、2012年4月に保険適用された手術支援ロボット「ダヴィンチ」が13.1日で最短。以下は腹腔鏡が14.2日、開腹が15.8日と続き、最長は「小切開」の17.6日でした。これに対して開腹では、平均在院日数が10日を切る病院がある一方で、30日を上回る病院もあるなど病院間に差が見られました。

2014.8.28ブログ CQI研究会③

 手術を終えてから退院するまでの「術後日数」もダヴィンチの9.8日が最短でした。ただ、術後合併症の発生率はダヴィンチが3.7%。これに対し腹腔鏡は2.7%、開腹は3.5%で、これらに有意差は認められませんでした。発生率が最高だったのは小切開で、10.6%と全体の1割を超えています。

2014.8.23CQI研究会 グラフ②②

■結腸がん切除術、在院日数にばらつき

 一方、結腸がん切除術の平均在院日数は、全体で25.4日でした。病院別に見ると、12日程度に抑えている病院もあれば30日近くに及ぶ所も多く、中には80日を超える病院もありました。これに対して腹腔鏡下での切除術では15.7日と比較的短く、病院間のばらつきも少ないことが分かりました。

 術後日数は結腸切除術が17.9日、腹腔鏡が10.8日。また、手術を終えてから食事を開始するまでの日数は結腸切除術4.2日、腹腔鏡3.4日でした。手術の翌日から食事を開始する病院の一方で、開始までに6日を超える病院もありました。国立がん研究センターのクリティカルパスでは、食事開始は「手術後3日目」とされています。

 CQI研究会は、がん医療の質向上につなげようと07年に5病院が参加してスタートしました。DPCデータや臨床指標のベンチマークはGHCが担当しています。

 今回、幹事を務めた神奈川県立がんセンターの中山治彦副院長は冒頭のあいさつで、「わたしたちの施設でも、(ベンチマークのデータを)いろいろな改革に活用できたし有意義だった。ここまで広がるとデータの精度がさらに上がり、意義深いものになっていると思う」と話しました。


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。