GHCブログ

2014年01月24日

中医協総会 DPC制度2014年度改定内容の大部分が決定

「がん哲学」外来という金沢大学付属病院の専門外来について、本日の朝日新聞コラムに掲載されていました。これは、進行がん、再発、転移に悩む人や家族と話すために設置された外来。ここでは、「もう何をしても意味がない」という人々に寄り添い、人生の答えを探していきます。こうした取り組みを知ると改めて病院は心身共々、傷を負った人々を癒すための場所なのだと感じます。 さて、そんな私たちにとってはなくてはならない病院の経営を左右する議論が行われる、中央社会保険医療協議会(以下中医協)総会が22日(水)に開催されました。 今回は、昨年の12月25日に開催された中医協総会にて議論された、DPC 制度(DPC/PDPS)に関する2014年度改定内容をわかりやすくまとめた資料(総頁数32ページ)が提案され、了承されました。 DPC制度に関する2014年度改定案がまとめられた資料↓ http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf 今回、各議題に関する意見はほとんどなく、スムーズに了承されました。 なお、個別医療機関の医療機関別係数に係る経過措置(激変緩和)について、2012年度改定で、調整係数の置き換え等に伴う診療報酬の激変を緩和する観点から、個別医療機関の医療機関係数の変動の影響による推計診療報酬変動率(出来高部分も含む)が2%程度を超えて変動しないよう暫定調整係数を調整する措置を行いましたが、今回も実施することで了承。変動率の数値は今後決定するそうです。 ■調整係数は、さらに元の調整係数の25%が「基礎係数」と「機能評価係数2」へ置き換え DPC制度導入時に、DPC制度に参加した医療機関の前年度なみの収入を担保するために医療機関ごとに設けられた「調整係数」が、2012年度改定では(元の調整係数の)25%、今回の2014年度改定ではさらに(元の調整係数の)25%が「基礎係数」と「機能評価係数2」に置き換えられるということが記載されました。これは2012年度改定で段階的に移行することが決定しており、完全移行は、4年後の2018(平成30)年。完全移行した後は、「基礎係数」、「機能評価係数1」、「機能評価係数2」を合算して算出した係数である、「医療機関別係数」となります。2014年度改定で、基礎係数による、医療機関群2と医療機関群3の差は実質2%程度になりますが、これにさらに機能評価係数2による差がでてくるため、1%程度の差かもしれません。 各係数の意味については下記。 fig1 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P1より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf ■医療機関群2群 手術実施症例件数、基準値は年間2680件以上 医療機関群2群の各実績要件も基準値の定義も明記されており、【実績要件3】の(3c)手術実施症例件数の基準値は年間約2680件以上とのこと。そのほか、各実績要件の基準値にかかわる資料が10ページ以降に掲載されていますのでご参照ください。 fig2 fig3 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P3-4より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf 実績要件3aは、今回示された分析資料によると、基準値である、1群の下から2番目の値は「12.8」程度。ここらへんがおそらくボーダーラインになるでしょう。外保連手術指数に関しては、GHCでも分析を行い、1月17日のブログで紹介しているので、参考にしてみてください(/3693.html)診療密度は前回と同様レベルでした。 fig4 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P12より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf ■機能評価係数2の財源配分は等分で決定 2014年度改定から7項目(保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療、後発医薬品)評価となる、「機能評価係数2」に関しては、「財源配分が等分」になることが今回の資料で明らかになりました。 「保険診療指数」と名称変更される「データ提出指数」は、適切な保険診療の普及のための教育に向けた取り組みの評価(Ⅰ群のみを対象)を導入するため、現在は、全医療機関群の共通の評価ですが、2014年度改定後は医療機関群ごとの評価になります。Ⅰ群病院のみ対象となる評価は、定例報告会に厚労省へ指導医療官として出向させた医師の参加が必要になる点です。 fig5 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P5より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf 機能評価係数2については、分析資料によると、最大で8%評価になる病院もあるようです。 fig6 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P16より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf 後発医薬品の係数は最大1.5%程度です。これは500床で約5,000万もの影響があります。今後は積極的に後発医薬品を採用していった方が良いでしょう。 fig7 出典:第268回中央社会保険医療協議会 総会(1月22日開催) 厚労省配布資料(総-6)P32より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf 機能能評価係数1に関しては、その意味が記載されており、機能評価係数1は、出来高評価体系における「当該医療機関の入院患者全員に対して算定される加算」や「入院基本料の補正値」等を評価しているものであり、出来高評価体系の改定に応じて、必要な見直しを行うとのこと。 診断分類表については、詳細はまだ明らかになっていませんが、上6桁コードは、2012年度改定では516分岐でしたが、2014年度改定では、504分岐に減少。特に減っているのは新生児疾患で、神経系疾患は少し増加しているようです。 ■消費税増税対応は引き上げ分を上乗せ 包括評価における、消費税増税に関しては、個々の項目の消費税対応に係る引き上げ分に応じて、出来高に換算した場合の、上乗せ分に相当する額を算出し上乗せすることによって対応するとのこと。この、消費税引き上げによる上乗せ分は、診断群分類点数表において反映するそうです。 【参考資料】厚労省ホームページ 中央社会保険医療協議会総会 資料 総-6 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035085.pdf