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2014年04月23日

医療技術の費用対効果、検討を再開-中医協、16年度めどに試験導入

 中央社会保険医療協議会は4月23日総会を開き、医薬品や医療機器の保険適用を検討する際、これらを使った医療技術の費用対効果を評価する手法の検討を再開させました。厚生労働省は、2016年度の試験導入を目指すとしています。今年度には医薬品、医療機器メーカーからデータの提出を募り、実際に分析してみることで評価手法の具体化を試みます。その上で、15年度から試験導入の検討をスタートさせるという流れです。  革新的な医療機器を使った医療技術や新たな医薬品の中には、高い治療効果が期待される一方で費用が掛かり、費用対効果の観点からすると効率的とは必ずしも言えないものがあると指摘されてきました。このため厚労省は、新たな医療技術を収載する際に効果だけでなく費用面も分析して、医療保険上の適切な評価につなげるのが狙いです。 中医協は、費用対効果評価の検討を再開させた

中医協は、費用対効果評価の検討を再開させた

 厚労省はこの日、分析データの提出を求める医薬品、医療機器について、保険収載されてから一定期間を経ているものを対象にする考えを示しました。保険収載されてから情報の蓄積が進んでいると見込まれるためです。  メーカー側に提出を求めるのは、医薬品や医療機器の効果と費用に関する分析データです。このうち効果を測るための指標には、患者の生存年に生活の質(QOL)を反映させた「質調整生存年」(QALY)のほか、「生存年」や「治癒率」「重症度」などの中から、最適なものを使うとしています。一方で、医療費などの費用がどれだけ掛かっているかも分析し、費用対効果を明らかにします。  費用対効果の評価方法の検討は12年4月にスタートしました。厚労省は当初、今年度からの試験導入を目指していましたが、意見を調整し切れずに見送られました。背景には、費用対効果が低いとされた医療技術の保険収載が見送られたり、既に収載されている技術が取り下げられたりすることへの懸念があります。  実際、政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議が今月に開いた合同会合の中で田村憲久厚労相は、費用対効果が低い医薬品などについて、医療保険ではなく保険外併用療養費制度上の対応を検討する方針を示しています。  総会に先立ち23日に開かれた費用対効果評価専門部会では、診療側の安達秀樹委員(日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長)が田村厚労相の真意を質しました。厚労省によると、医療技術を保険収載するかどうかの判断や償還価格に費用対効果の評価結果を実際に反映させている国もあるといい、同省の担当者は、こうした取り扱いも将来的に検討課題になり得るとの認識を示しました。  新たな仕組みが医療技術の取り扱いに大きく影響する可能性もあるだけに、今後の議論から目が離せません。 中央社会保険医療協議会 総会 (第276回)議事次第

広報部
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