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2014年05月15日

【中医協】診療報酬改定の検証、年度内に6調査実施へ―「同一日・同一建物」の訪問診療は前倒し

 2014年度に実施した診療報酬改定によって医療現場にどのような影響が及んでいるかを明らかにするため、中央社会保険医療協議会は15年度にかけて調査を実施します。調査するのは、救急医療管理加算の見直しによる影響など計12項目で、このうち6つは年度内に実施します。集合住宅など同じ建物の患者を、1日に2人以上訪問診療した場合に診療報酬を大幅に引き下げたことによる影響については、調査時期を前倒しします。一連の見直しによって、集合住宅や介護施設が医師を確保できないケースが出ているという指摘があり、早急に実態を把握するためです。  これらの調査は診療報酬改定による現場への影響を検証し、次の改定に反映させるためのものです。14日の中医協総会で、厚労省側が調査概要とスケジュール案を提示、了承されました。  それによりますと、15年度までに調査するのは、救急医療管理加算の見直しのほか、主治医機能の評価の新設による影響や、外来医療の機能分化・連携、在宅療養後方支援病院の設置状況などです。このうち救急医療管理加算の見直しなど5つの調査は、今年12月までに順次実施して年明けに結果の速報値を取りまとめます。ただ、後発医薬品の使用促進策の影響については、年度ごとに調査します。  また、訪問診療の取り扱いに伴う影響の調査は実施時期を8-9月に早め、速報値を10月にまとめます。  14年度の報酬改定では、在宅時医学総合管理料(在医総管)や訪問診療料など患者を訪問した際に算定する診療報酬の取り扱いを見直し、集合住宅など同じ建物の患者を1日に2人以上訪問した場合の診療報酬を、大幅に引き下げました。これにより、例えば在医総管は、従来の4分の1程度しか算定できなくなりました。  一連の見直しは、医師とあっせん業者らが契約して、集合住宅の患者を囲い込むような「不適切な事例」をなくすのが狙いでした。ただ、こうした対応を受けて在宅医が訪問診療から撤退し、医師を確保できない集合住宅が出ているといった指摘があり、実態把握を急ぐことにしました。この日固まった実施概要によると、集合住宅で医師を確保できているかどうかや、訪問看護を受ける患者の病状なども調べます。  救急医療管理加算は、重症患者の緊急入院を受け入れた場合への評価。従来は「意識障害」など9項目のどれかか「これらに準じる状態」に該当すれば算定できましたが、今回の見直しで「これらに準じる状態」の診療報酬を大きく引き下げた経緯があります。 【参考資料】 中央社会保険医療協議会 総会(第277回) 議事次第