GHCブログ

2014年05月24日

【介護報酬】訪問看護師、地域需要に見合う増加策に-厚労省方針

 社会保障審議会・介護給付費分科会が5月23日開かれ、厚生労働省は2015年度に実施する次の介護報酬改定に向け、「定期巡回・随時対応サービス」「小規模多機能型居宅介護」「複合型サービス」「訪問看護」などの論点を明らかにしました(資料はこちら)。「訪問看護」の主な論点としては、訪問看護師の数が少ないという課題がある一方で、利用者本人や家族の意向で訪問看護を利用しなかったり、サービスの供給不足を指摘する声が少なかったりすることなどから、将来的な需要増を勘案しつつも、当面は地域の需要に見合った増加策が必要不可欠だとしました。

2014年5月23日 第101回社会保障審議会介護給付費分科会

2014年5月23日 第101回社会保障審議会介護給付費分科会

「訪問看護の供給不足」は2.3%

 厚労省の資料によると、訪問看護が「必要あり」と判断したのにサービスを利用しなかったケースについて、主な理由をケアマネジャー1300人に聞いたところ、「訪問看護ステーションに空きがない」は2.3%(複数回答)にとどまり、供給不足を感じる関係者は必ずしも多くないことを示す結果でした。これに対して、最も多かったのは「本人の希望(利用したくない)」が59.6%(同)で、これに「家族の希望(家族で対応できる)」54.1%(同)が続きました。

 そのため、厚労省では地域の需要を含め「実態に即した推進が必要不可欠」とした上で、「その際、新たな施策の展開も必要」としています。厚労省はこれまでに、訪問看護ステーションの大規模化などによって、経営改善やスタッフの事務作業負担の軽減などにつなげる方針を打ち出していますが、これ以外の施策の必要性も示唆しています。例えば、病院の看護師による患者宅の訪問を促すなど、現在の訪問看護の枠を超えたサービス提供の仕組みが今後、テーマになる可能性もあります(参考記事「機能分化と連携の当然の帰結、在宅看取り支える訪問看護」)。

 そのほか、訪問看護では(1)訪問看護ステーションの規模拡大の推進、(2)軽度の要介護者の相対的な増加への対応、(3)2014年度診療報酬改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の介護報酬改定での対応――などの論点が提示されました。

 また資料では、訪問看護の概況(「介護給付費実態調査―2014年2月審査分―」)として、(1)訪問看護者の利用者数(約34万人)および訪問看護ステーション数(6992カ所)はともに増加傾向にあり、訪問看護ステーション数は近年の増加が著しい(2)訪問看護利用者の半数以上は要介護3以上の中重度者であり、2009年度以降、要介護1及び要介護2が増加(3)訪問看護ステーションの利用回数は、要介護度が重度になるほど回数が増加しており、要介護5では月6.8回――などが報告されました。

*参考URL*
○第101回社会保障審議会介護給付費分科会資料
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000046669.html
○介護給付費実態調査
 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/45-1.html
○平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成24年度調査)の結果について(案)
 http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145593&name=2r98520000034m1s_1.pdf
○平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)の実施内容について(案)
 http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145596&name=2r98520000034m2v_1.pdf
○GHCブログ「機能分化と連携の当然の帰結、在宅看取り支える訪問看護」
/4044.html