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2014年06月16日

混合診療拡大だけじゃない 規制改革答申―「医療機関の質評価」に「7対1厳格化」も

 政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)が6月13日に取りまとめた第2次答申には、混合診療を拡大する新たな仕組み「患者申出療養」(仮称)の創設だけでなく、適切な競争を促すため医療機関の質を評価できるようにしたり、7対1入院基本料の算定要件を一層厳しくして急性期病院にのみ適用したりする内容も盛り込まれました。実現すれば、いずれも病院経営に大きな影響を与える可能性があります。  規制改革会議が取りまとめたのは、「規制改革に関する第2次答申」で、昨年6月の第1次答申に次いで今回が2回目です。これを受けて政府は規制改革の実施計画を策定し、近く閣議決定される見通しです。  保険外診療と保険診療を併用する混合診療は、現在は原則として禁止されていますが、最先端の医薬品などを使う「先進医療」などでは、安全性や有効性などが認められた技術を国が認めた医療機関が実施する場合に限り、「保険外併用療養費制度」の枠組みに沿って実施できます。  ただ、この制度では医療機関が実施を申請してから承認までに平均6-7か月を要するため、規制改革会議では「必ずしも患者のニーズに迅速に応えられない」と指摘しました。  「患者申出療養」(仮称)は、国内未承認薬の使用などを患者が医療機関を通じて申し出た場合、原則6週間で国が判断を出して受診できるようにするもので、対応医療機関も随時追加するとしています。規制改革会議の提案は、保険外併用療養費制度の中にこの仕組みを創設する内容で、次期通常国会への関連法案の提出を求めています。  一方、医療機関の質の評価は、患者が医療機関を選択するのに役立つ情報を提供したり、医療提供体制の充実につなげたりするのが狙いです。答申ではまず、医療機関以外の組織がDPCデータなどを使って行うベンチマーク分析の信頼性を高める必要性を強調。そのための手段として、DPC対象の医療機関や公表する評価指標を増やすべきだとし、15年度早期の実施を求めました。  ただ、公的資金が投入される自治体病院や公的病院については、経営・サービスの効率化と医療の質の向上が一層重要なため、こちらは14年度内の対応を要請しました。  また、7対1入院基本料については「実質的に急性期医療を行っていない医療機関にも適用されている」と指摘。こうした状況を解消するため、今年4月に実施した診療報酬改定の影響を見極めた上で算定要件を一層、厳しくするよう提案しています。  医療関連ではこれら以外に、▽医療資源の適正配置▽保険者機能の充実・強化▽看護師の「特定行為」の整備―なども盛り込まれました。このうち医療資源の適正配置では、相対的な医師不足地域や診療科への就業インセンティブの充実を求めています。 第35回規制改革会議 規制改革に関する第2次答申