GHCブログ

2014年06月20日

短期滞在手術等基本料3は医療・看護必要度の計算に「含めません」 厚労省、近く事務連絡

 7対1入院基本料などの算定要件の一つ「重症度、医療・看護必要度」を計算する際、短期滞在手術等基本料3の算定患者はカウントしない取り扱いを、厚生労働省が地方厚生局などに近く通知することが分かりました。こうしたケースの取り扱いは診療報酬改定の実施から3か月近く経った今でも明確にされておらず、病院現場に混乱が生じています。  短期滞在3の対象は、「水晶体再建術」や「終夜睡眠ポリグラフィー」などで、入院5日以内にこれらを実施して退院すると、米国のDRG/PPSのように1入院当たりの診療報酬がすべて包括されます。「鼠形ヘルニア」が対象だった従来の短期滞在手術基本料3を4月の診療報酬改定で見直し、21通りの手術や検査に適用を拡大した経緯があります。  一般病棟入院基本料などの算定要件のうち平均在院日数のカウントには、短期滞在3を算定した患者は含めないことになっていますが、医療・看護必要度の計算に含めるかどうかの取り扱いは不明瞭なままです。このため、病院によって対応が異なるなど混乱が起きています。  厚労省の担当者はGHCの取材に、医療・看護必要度の計算にこれらの患者は「含めません」と回答していて、こうした取り扱いを盛り込んだ疑義解釈を近く事務連絡するとのことです。  一般病棟入院基本料のうち、最も点数が高い「7対1」を算定するには、医療・看護必要度が一定の基準に達した重症の患者を全体の15%以上にする必要があります。短期滞在3の対象には比較的軽症な患者が多いため、これらの患者を含めずに計算するなら、医療・看護必要度の基準をクリアしやすくなるとみられます。
外保連手術指数に含めるかは「これから議論」
 一方、同省によると、DPC病院Ⅱ群の実績要件「高度な医療の提供」を測る基準になる「外保連手術指数」について、短期滞在3の手術を含めて計算するのかどうかは、「これからの議論次第」とのことです。  Ⅱ群に組み込まれるのは、DPC対象病院のうち大学病院本院並みの診療機能を持つ病院で、これら以外のⅢ群に比べると診療報酬上、有利になるケースが多いとされます。DPC対象病院がⅡ群とⅢ群のどちらに組み込まれるかは、院内で実施している手術の難度を示す「外保連手術指数」などが判断基準になります。  厚労省の説明では、外保連手術指数は診療報酬改定の前、1年分のデータを使って集計します。現在の短期滞在3はこの4月にできたため、14年度の改定でⅡ群、Ⅲ群の区分けの根拠になったデータには、この点数の手術は含まれていません。  一方、16年度の改定で区分けを見直す際、短期滞在3の手術を含めて「外保連手術指数」を計算するかどうかは、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会などで今後、話し合うことになります。