GHCブログ

2014年07月01日

自病院の将来像を探れ! 担当者ら本音で議論―「病院ダッシュボード」ユーザー会、大阪で開催

 「7対1を維持したい」「病床稼働率を下げないことが課題」。  GHCが提供する次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザーたちが6月26日、大阪市内に集まりました。GHCが開いたユーザー会の参加者たちで、この日は西日本各地の12病院のスタッフ計22人が、それぞれの将来像を話し合いました。  4-5人ずつ5つのグループに分かれてのフリーディスカッションでは、医療の機能分化が進む中、自病院の理想的な将来像をどう描き、その実現を阻むハードルをどう乗り越えるのか、意見交換しました。  医療機関の機能分化を促すため、この4月の診療報酬改定では、点数の高い7対1入院基本料の算定要件のうち、平均在院日数などの取り扱いが厳しくされました。急性期病院にとっては、現在の機能をこれからも維持させるのか、それとも地域包括ケア病棟に一部を移行させるなど病院の機能を再編させるのか、難しい判断を迫られます。 6月26のユーザ会には、西日本各地の急性期病院の担当者ら22人が参加しました

6月26のユーザ会には、西日本各地の急性期病院の担当者ら22人が参加しました

 4病院のスタッフが集まったグループでは、7対1の算定をどう継続させるかがテーマになりました。現在は4病院ともこの入院基本料を算定できていますが、平均在院日数の基準をクリアしようとすれば、病床の稼働率低下が避けられません。稼働率を高く維持するため、病棟の建て替えに伴って実際にダウンサイジングに踏み切ったという病院もありました。  「戦略を作り上げるシステムができていない」「データをもっと活用したいけど、統括する部署が院内にない」。グループごとの話し合いでは、こんな本音も漏れました。ある参加者は、「地域包括ケア病棟に乗っかると必ず梯子を外される」と、機能分化を推進する国の動きに警戒感をにじませました。  「病院ダッシュボード」を医療現場でもっと役立ててもらおうと、GHCではユーザー会と新規に導入する病院向けの操作説明会を各地で開いています。今回は今年1月に続く開催で、6月の大阪を皮切りに7月には福岡、8月には東京で順次、開く予定です。
病院の将来像打ち出す「データサイエンティスト」に
 フリーディスカッションに先立つ事例発表では、病院ダッシュボードを実際にどう活用しているか、3病院の担当者が紹介しました。  広島赤十字・原爆病院(広島市中区)では、病院ダッシュボードの「DPC俯瞰マップ」の機能を使って診断群分類別の平均在院日数を全国水準と比べたり、「基礎係数分布」の機能で診断群分類別の全国症例数を把握したりして、どの疾患で在院日数を短縮すべきかを検討しました。疾患のピックアップを進めた同病院の西田節子・医事顧問は、「在院日数はやみくもに短縮させるのではなく、ターゲットを絞り込むと効率的」と述べました。  西田さんは、病院ダッシュボードを使って治療内容を検証し、クリティカルパスの見直しなど医療と経営の質向上を呼び掛けてきたといい、単にデータ分析するだけでなく、それを使って病院の将来像を院内に提言する「データサイエンティスト」の役割を事務部門が担うべきだと呼び掛けました。  姫路赤十字病院(兵庫県姫路市)経営企画課の藤川勝英係長は、病院ダッシュボードについて、「DPC対象病院を運営する上で貴重なデータをベンチマークできて、自分たちの状況をすぐに把握できる」と話しました。藤川さんはまた、入院当たりの診療報酬がすべて包括される「短期滞在手術等基本料3」の適用が4月から拡大されたのを受けて、同病院では白内障手術などの外来への切り替えを検討していることも明らかにしました。  三田市民病院(同県三田市)では、診療科ごとのヒアリングの資料作成などに病院ダッシュボードを活用しています。各診療科の症例数が多い疾患について、12、13年の状況を分析すると、外科では、「鼠径ヘルニア」が57件から64件に増える一方、平均在院日数は約1日短縮していました。  ただ、診療報酬が低い「入院期間Ⅲ」の症例も多く、同病院経営企画課の楠ふみさんは、合併症が発生していないかどうかや検査に無駄がないか、注視する考えを示しました。 病院ダッシュボード ユーザー会2014(福岡) 病院ダッシュボード ユーザー会2014(東京)