GHCブログ

2014年07月04日

過剰な外来が手術室の稼働率に影響か-日病学会で分析実演、GHC

 GHCは3日、香川県高松市で始まった第64回日本病院学会でランチョンセミナーを開き、米国グローバルヘルス財団理事長のアキよしかわが、実際の病院のデータを使って「病院ダッシュボード」による分析を実演しました。6月の医療マネジメント学会に続くリアルタイム分析で、今回は「四国こどもとおとなの医療センター」(同県善通寺市)の課題を探りました。その結果、同センターでは単価の低い外来診療が重荷になって十分に手術をこなせていないとみられることが分かりました。ほかの医療機関からの紹介患者を治療した後、元の医療機関に逆紹介する割合も低く、アキはこうした点の改善を課題に挙げました。  データ分析は、GHCが開発した次世代型経営支援システム・病院ダッシュボードによるものが中心で、このほか麻酔を行った症例数などのデータを同センターに提出してもらいました。 cimg0084 アキはまず、手術台帳データの一部が欠けている可能性があるものの、手術室の稼働率の低さを課題に挙げました。同センターには手術室が8室ありますが、これらの稼働率を時間帯別に分析すると、午後に手術が集中する傾向が認められました。次に外来の状況を分析したところ、整形外科や小児科、眼科などでの受診患者数が特に多く、すべての外来症例の過半数は単価が5000円未満のもので占められることが分かりました。  一方、入院患者の紹介・逆紹介の状況を分析した結果、整形外科の手術(筋骨格系)を受けた患者のうち、ほかの医療機関から紹介された患者の割合が全国平均と比べて低いことが分かりました。治療が終わった患者をほかの医療機関に逆紹介した割合は、紹介患者の割合よりも低くなっていました。  同センターは、国立病院機構が運営する善通寺病院と香川小児病院が合併し、13年5月に開院した病院で、難易度が高い小児の症例が多いのが特徴です。同センターでは、単価の低い外来診療が増え過ぎて、医師が手術にまで対応できなくなっているとみられ、アキは同センターが今後、地域の基幹病院として紹介率を上げるため、紹介患者を積極的に元の医療機関に返すなど、連携の強化が重要になるとの見方を示しました。
DRG化する診療報酬、予定手術の増加がカギに
 ランチョンセミナーの中でアキは、日本の診療報酬制度が一入院当たりの診療報酬を包括して支払う米国のDRG/PPSに近づいていると指摘しました。  高額薬剤などのコストを入院初日に集中して支払うDPC/PDPSの「点数設定方式」(「隠れDRG」)や、一入院当たりの診療報酬をすべて包括される「短期滞在手術等基本料3」(従来の「短期滞在手術基本料3」)の適用がそろって拡大されたためで、こうした仕組みが広がれば、予定手術をどれだけ増やせるかが病院にとって重要になると強調しました。