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2013年11月05日

中医協総会 入院医療等の調査分科会とりまとめ案に診療側委員強く反対

11月1日、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)総会が開催されました。 今回の総会の議論ポイントは、「入院医療等の調査・評価分科会(以下、入院調査分科会)」(会長・武藤正樹・国際医療福祉大学大学院 教授)から提案されたとりまとめ案(以下、とりまとめ案)のうち、特定除外制度の廃止についてです。 診療側委員は大部分に対し強く反対の姿勢、一方、支払い側委員はとりまとめ案に賛成。意見は対立し、とりまとめ案の承認は見送りとなり、今後、診療報酬改定までさらに議論し提案内容の変更も視野に入れ、調整していくことになりました。 CIMG3769 診療報酬調査専門組織「入院医療棟の調査・評価分科会」からの報告に関する資料は下記からご覧ください。 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000028410.pdf 診療側委員のなかでも特に日本医師会(以下、医師会)に所属している、中川俊男氏(日本医師会副会長)・鈴木邦彦氏(日本医師会常任理事)が、7対1入院基本料(以下、7対1)、10対1入院基本料(以下、10対1)を算定している医療機関における特定除外制度廃止に関して、医療機関への影響が大きいと反対。 また、両氏は2012年度診療報酬改定で設定された、7対1重症度・看護必要度の厳格化に関する経過措置を2014年度3月末で廃止する案についても反対。 これに対して、支払側委員・白川修二氏(健康保険組合連合会専務理事)は、「とりまとめ案によると経過措置を届け出ている医療機関のうち約9割が、(2014年3月末までに7対1の施設基準を満たすようにする、10対1に移行するなど)今後の意向をかためているため、廃止して良い」と賛成の意向を示しました。 一方、亜急性期病床に関しても、中川氏は「亜急性期だけの病院をつくるのは反対。救急車で亜急性期の機能しか備えていないところに運ばれ、そこで治療されるのは患者にとってよくない」と述べ、特に高齢者にとってこのような機会が増える可能性が高いことを指摘。これを「高齢者差別」と訴え、亜急性期入院管理料の要件の1つとして検討されている、「二次救急指定」に強く反対しています。 こうした診療側の意見に関して、支払側である矢内邦夫氏(全国健康保険協会東京支部長)は、「7対1に特定除外は適さないと思う。リハビリ機能に関しても急性期が担う機能なのか疑問。7対1、10対1の特定除外を廃止しても現場は混乱しないと今回のデータからもわかる」との見解を示しました。 その後も議論は平行線をたどり、とりまとめ案の内容については、中医協委員の合意を得られた決定事項はありませんでした。 入院調査分科会は5月から計10回開催され、議論内容がとりまとめられました。その間、8月にも中間とりまとめ案として中医協総会に提出され、今後さらに議論を深めていくことが前提ではありましたが、承認されていますので、この段階で、診療側の意見を反映させ、とりまとめ案が大幅に変更になる可能性は低いように思います。 しかし、日本医師会・四病院団体協議会は、7対1、10対1の特定除外制度廃止に関しては、独自調査を実施し、争う姿勢を見せていますので、両者の意見をどの程度汲み取って取りまとめられるかは、まだわかりません。 今後も医療機関の皆様は、注意深く、中医協総会や日本医師会の動向などを観察していった方が良いでしょう。 【参考資料】 中央社会保険医療協議会 総会(第254回) 議事次第 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000028167.html