GHCブログ

2011年10月21日

中医協、介護給付分科会が初めて公開の合同意見交換を実施

※「病院ダッシュボード全国ツアーin大阪」開催決定!! 参加ご希望の方はこちらから→http://ghc-j.com/seminar/osaka.php


21日、中央社会保険医療協議会総会中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会がグランドアーク半蔵門(東京都千代田区)で開催されました。

中医協と介護給付分科会の会長、各委員が公開の意見交換会を実施する機会は今回がはじめて。 会場には、医療・介護関連、TBSニュースのカメラマンなど、数多くのマスコミ関係者が参加していました。


中医協の森田朗会長と介護給付分科会の大森彌会長



冒頭、中医協の森田朗会長(東京大学大学法学・政治学研究科教授)は、今回の意見交換会が、中医協二号側委員からの呼びかけで開催されたことを話し、森田会長が議事進行を行うことを発表しました。 また、介護側の大森彌 会長(東京大学名誉教授)は、要介護の方々が尊厳を維持し、自立できるサービスを実現するためには、「地域包括ケアシステムの構築」が必要であることを述べ、「その充実に向けて検討すればするほど医療と介護が密接に結びついていることがわかる。双方共通認識のもとでいかに良いものに変えていけるか。それを議論するために、今日はその絶好の機会だと感じている」といった主旨の内容をコメントしました。

今回、議論するにあたって、「医療と介護の連携の議論に必要な視点」というタイトルで中医協二号側委員が、資料を提出。 中医協二号側委員提案の資料→(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rbxs-att/2r9852000001sdw2.pdf

そのなかで、「地域の医療や介護に携わる数多くの職種が協力して患者・利用者の情報を共有して、患者・利用者およびその家族と同じ目線で支え合うという“ネットワーク型”の連携システムが必要」と主張。さらに、そうした連携システム構築のためには、「地域全体の医療と介護のコーディネート役を担う地域連携拠点(ハブ)を一定の圏域ごとに設置することが不可欠」としました。 この意見について、介護側の田中滋委員(慶應義塾大学大学院教授)は、「ほとんど全面的に同感いたします。私も名前を連ねたいくらいです」と発言。「介護側では地域包括ケアシステムの構築をめざしてきた。これは地域包括ケアの推進ではなく、地域包括ケアシステムの構築でなければなりません」と主張し、「地域のネットワーク、ハブのシステムをつくる」という考えに対して、賛同の意向を示しました。

この方向性には、介護・医療分野の各委員が賛同。介護側の池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)もこの方向に支持するとしたうえで、「ハブ運営の責任の所在をどこに置くかが問題」と述べ、実際にコーディネートする人材として、医療ソーシャルワーカーやケアマネを挙げました。 この問題に対して、村川浩一委員(日本社会事業大学教授)は、「2025年に向けて、市町村といった基礎自治体を中心にハブシステムを位置付ける方向に議論していくことが大切」と意見を述べました。

また、介護療養病床の転換が進まない理由について中医協(診療側)の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、数年の間に療養病床における医療政策の方針が大幅に変わってしまったことなどこれまでの厚労省が行ってきた「猫の目行政」について述べ、医療関係者が「行政の政策を信用していない」とコメント。介護療養病床の転換を進めるためにも医療機関が「将来の見通しが立つ政策を具体的に出していくことが必要」といった主旨の内容を話しました。

さらに、数名の委員が、在宅医療・介護をもっと充実させていくためには、訪問看護や訪問介護が非常に重要であることを訴えました。 また、介護側の池田委員から認知症ケアについて「医療と介護の役割がうまく整理されていない、それをきちんと整理するべき。認知症がよくわかっている医師が往診で活躍していただけるように診療報酬で評価ほしい」と述べました。

最後に、大森委員は、「医師のなかにはいつも自分が一番えらいと思っている人がいる」とコメント。これが多職種間で協力していくことの壁になる場合があることを話し、医師、看護師、準看護師、介護職に上下関係をつくらず、「それぞれの機能をお互いに認め合いながら、やっていくことが必要」といった主旨の内容を話しました。

一方、森田会長は、最近、数年介護していた親を看取ったことを話し、「利用者の観点からみると、これは医療だから、これは介護だから、といっていると利用者のためにならないことがわかった。現実には制度や機能が違い、施設も違いますが、将来的には、医療と介護がシームレスなサービスを提供できるようになってほしい。それぞれ保険制度が違うが、それぞれの最適化を気にしていると、国の最適化にはつながらないかなと思いました」といった内容を話しました。

参考資料厚労省ホームページ 「中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rbxs.html

—–

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。社内外のステークホルダーの人物像(ストーリー)に焦点を当てたコンテンツ作成にも注力する。