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2011年10月19日

中医協 高齢者の軽症・中等症の救急搬送数が増加、今後対応を検討

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18日、厚労省で中央社会医療協議会が開催されました。

厚労省講堂での中医協開催風景




第200回目であった本日の中医協では、救急・周産期医療について厚労省がまとめた資料をもとに議論されました。 厚労省担当官は、救急医療について、平成22年度改定で救急医療に係る診療報酬の点数が引き上げられたことによって、救急医療にどのような変化があったかを解説。 資料のなかの「救急搬送人員の変化(年齢・重症度別)」や「70歳以上の疾患別救急搬送数推移」「高齢者の傷病程度別救急搬送件数の推移」などの調査から、救急搬送される75歳以上の軽症、中等症の患者の増加について指摘しました。 これについて、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)から、「軽症でも搬送される高齢者の方が独居であるか、家族と同居しているかなどについて調査してほしい。そういったことが影響しているだろう」といった内容の要望がありました。

また、平成22年度改定後の医療機関に救急医療の充実が図られたかなどの調査結果を発表。「充実・改善することができた」という回答は全体の3分の1程度であったことを受けて「一定程度の効果しかなかった」と厚労省担当官からコメントがありました。 なお、「充実・改善することができた」理由としては、「救急医療による点数の引き上げ」「ハイユニット入院管理料の施設基準の取得ができた」「退院調整、地域連携診療計画等の拡充によって後方病床、在宅医療との連携が促進され、急性期患者の受け入れ拡大につながった」などが挙げられていました。 一方、「充実・改善させることができなかった」理由としては「現状において救急医療を充実させるだけの医師を確保することが困難」「医療関係者のなかでもっとも大きな課題としての看護師の不足などの人材不足を解消するには至っていない」などの意見がありました。 こうした報告を受けて、嘉山孝正委員(独立行政法人国立がん研究センター理事長/山形大学医学部大学院教授委員)は「数年前と比較して、救急医療に関する問題は改善されてきた」としながら、「平成20年度と何が違うのか、その要因を調査してほしい」と述べました。

そのほか「救急医療におけるトリアージ」についても議論。院内トリアージについては、実際にトリアージを実施している医療機関の多くで、年齢を制限せずにトリアージを実施していることが厚労省の調査からわかりました。こうした結果を受けて、今後、全年齢を対象に院内トリアージを実施する方向にまとまりました。

最後に、森田朗会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)から「診療報酬によって変えられる部分と医療提供体制の問題である部分と、患者さんや家族の方の意識、エモーショナルな要素が左右する部分があると思います。ある現象が起こる場合に、良かった場合も悪かった場合も何が影響しているのか、少し整理して資料などを出していただくことが議論を効率的に進めていくことにつながるのだろう」といった主旨の内容をコメント。今回の各委員からの意見をもとにさらに具体的な内容に関する議論を進めていくことになりました。

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広報部
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