GHCブログ
2009年11月15日
一つ目は、朝一番で行われたポスターセッション。
豊橋市民病院事務局管理課・長久聖二(「ちょうきゅう」さんと読みます)さんの「病院職員一丸で取り組んだコスト削減」。2006年度からコスト削減の取り組みを開始し、2008年度末までに材料費、委託料、賃借料、修繕費のうち211項目を見直した結果、2年間で3.7億円の削減に成功した、という内容です。この取り組みのポイントは、1つは、各業者さんに協力を依頼し、あくまでも信頼関係の上で交渉を行ったこと。もう1つは、ベンチマーク分析を使ったこと。
業者さんとの信頼関係という点では、まず、各業者さんを集めて、事務局長自らが病院の実情を説明。その上で、交渉を行い、協力してくれた業者さんに対しては、新製品の提案などを積極的に対応するなど、お互いにwin-winの関係をめざしました。もう1つのベンチマーク分析に関しては、GHCが保有しているデータを基に、あくまでも「適正な価格」での交渉を進めました。
最終的に大きな改善を得られたのは、こうしたノウハウと、トップのリーダーシップ、そして職員の皆さんが一丸となって取り組んだ結果です。長久さんは、「成果が職員の自信につながりました」と、数値だけではない、成功の体験を語ってくださいました。
続いて、松阪市民病院・里見ゆかさんの発表「DPC導入による医療経営効果と今後の課題」を聞きに場所を移動。赤字だった病院経営を、薬剤管理指導料の算定徹底や切れ目のないリハビリテーションの実施といった、医療の質を高めて経営改善につなげるという考え方で、改善。2008年度は前年比8.3%(約3億6,700万円)の増収、そして今年度はおそらく黒字になるとのこと。お金をかけて建物を改築したわけでもなく、高額な報酬で医師を集めたわけでもなく、どこの病院でも意識さえすれば取り組むことができる手法での改革です。「自治体病院でも、やればできるんだ」という非常に勇気づけられるメッセージでした。
ちなみに、全体の常勤医師数は以前よりも減っているものの、研修医は今年、来年と定員5人の枠が埋まっている状況だそうです(関連記事「松阪市民病院・世古口先生インタビュー」。
里美さんの発表に続いて行われたのが、小牧市民病院医局長の内藤和行先生の「東海3県自治体病院による東海コンソーシアム(ToCoM)立ち上げ経験」に関する報告です。ToCoMは、東海3県の自治体病院が集まり、ベンチマーク分析を通してDPC環境における問題点を明らかにすることを目的とした取り組み。GHCも、分析部分でお手伝いをさせていただいています。小牧市民病院、松阪市民病院、岐阜県総合医療センター、豊橋市民病院が世話人となって、東海3県の200床以上を持つDPC施行の自治体病院に呼びかけ、第一回の会合には、20病院が集まりました。
東海地区といえば、三大都市圏の1つですが、実は都市型の医療を少ない医師数で担っているという特徴があります。第1回の会合では、同じ地区、同じ経営基盤の病院といえども、「質には多様性があり、それが経営レベルに影響している」ことが明らかになったとのことです。ToCoMの活動を通して、今後、それぞれの病院がどのように変わっていくのか、非常に楽しみです。| 広報部 | |
![]() | 事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。 |