事例紹介

2019年03月14日

データ加工なしで効率的な地域連携を推進、右肩上がりの集患戦略に弾み

病院名 一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院 設立母体 民間病院
エリア 東北地方 病床数 353床
コンサルティング期間 6年間
病院名 一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
設立母体 民間病院
エリア 東北地方
病床数 353床
コンサルティング期間 6年間
病院ダッシュボードΧ
  • ビジョン・戦略の策定
  • 増収増益
  • コスト削減

 急性期病院の激戦区である福島市で、患者を増やし続けている一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院(福島市、353床:個室74室、重症個室16室、HCU18床、NICU9床※写真は同院のホームページより)。「病院ダッシュボードχ(カイ)」に新搭載された「地域連携分析」を活用することで、これまで必要だった特殊なデータ加工をすることなく、集患(増患)に向けた各種施策の効率化を実現。躍進中の同院の集患戦略にさらなる弾みを付けつつあります。

 大原綜合病院は、「人を愛し、病を究める」を理念に、地域で一番の医療を提供することを目指しています。年々、患者が増加しつつも高稼働(89.3%※2019年1月)を維持。地域包括ケアシステムの基幹病院として、診療所との前方連携、回復・療養などの施設との後方連携もシームレスに行っています。

 シームレスな連携の一翼を担っているのが、「病院ダッシュボードχ」でマーケティング機能を提供する「マーケット分析」に新搭載された「地域連携分析」です。

 同院はこれまで、佐藤勝彦院長(大原記念財団副理事長兼統括院長)による「紹介・逆紹介を増やそう」の号令の下、さまざまな施策を行ってきました。紹介・逆紹介の推進を担う地域連携相談室の室長に、菅野雅博氏が2015年4月に就任して以降、紹介・逆紹介は上昇し続けていました。ただその一方で、紹介・逆紹介を増やすための業務効率化や、院内の理解を得るという点では、課題もありました。

地域連携相談室の菅野雅博室長

「入院移行率」は斬新な切り口

 まず、紹介においては、紹介件数を増やすために活用する「紹介データ」の加工、活用に労力を要していたことがあげられます。紹介データの詳細を丁寧に整理・分類した上で、各種施策の判断材料にしていたのです。ところが、「地域連携分析」を活用すれば、紹介データの複雑な加工などは必要なく、簡単に地域の医療機関からの紹介患者の状況などを可視化することができます。これにより、紹介データの手作業はなくなり、自動化されました。

 そして最も大きかったのが、「『入院移行率』という考え方が非常に斬新だった」(菅野氏)ということです。「地域連携分析」では、紹介患者のデータを、紹介元となる医療機関別、診療科別、医師別、疾患別などで確認することができます。ただ、「地域連携分析」はそれだけではなく、こうしたすべての項目を、入院に移行した割合(入院移行率)、手術に移行した割合(手術移行率)で確認することもできるのです。

 地域連携の推進には、紹介元となる周辺の医療機関への訪問が欠かせません。訪問により、紹介先としての強みがどこにあるのか、安心して患者を任せられるかどうかの信頼を得る必要があるためです。ただ、マンパワーにも限りがあるため、すべての医療機関へ等しく訪問するには限界があります。そこで、急性期病院で診るべき入院や手術へ移行する可能性の高い患者を多く紹介してくれる医療機関を優先的に訪問し、周辺医療機関との適切なネットワークを構築することができれば理想的です。「地域連携分析」で紹介データの入院移行率や手術移行率を知ることができれば、適切なネットワークを構築するための訪問を実践することができます。

最適な訪問・紹介枠設定

 「地域連携分析」がリリースされた2018年11月以降、同院ではこれをフル活用。これまで職員がほぼ感覚値で行っていた訪問すべき医療機関を、データで見える化。地図上に訪問すべき医療機関の優先順位を示す「スコアリング機能」なども活用しつつ、年末の挨拶周りでは「地域連携分析」のデータを軸に訪問を行いました。

 同院では、診療科別に「紹介枠」を設定し、紹介件数をコントロールしています。ここでも「地域連携分析」を用いることで、次年度の紹介枠の件数を直感ではなく、客観的な数字を用いることで、医師や看護師が納得の上で最適な枠数を設定することができました。

外来診療の最適化で逆紹介を推進

 周辺医療機関から患者の紹介を受けるためには、自院から周辺医療機関への「逆紹介」も進める必要があります。逆紹介では、「地域連携分析」に加えて、「病院ダッシュボードχ」の外来診療の状況を可視化する「外来分析」を活用しました。

 病院の外来症例では、30-40%が「単価5000円未満」であることが多く、一方でそれを収益面でみると「外来収益の5%にも満たない」ことがほとんどです。こうした症例を積極的に地域に戻すことで、急性期病院である大原綜合病院は手術などの重症症例により多くの時間を割くことができるようになります。周辺の医療機関にとっては集患につながり、win-winの関係が構築できます。

 同院でも診療科別に外来診療の最適化を検討し、紹介や救急を受ける仕組みの土台作りに「外来分析」を活用しています。

資料作りやすくボトムアップ促進

 大原綜合病院は「在宅医療もできる急性期病院」を目指し、今後もシームレスかつ最適な前方・後方連携の推進が欠かせません。紹介を受け入れるため、最適な入退院支援による病床管理の徹底も必要です。

 さまざまな施策を同時並行で進めていく上で、院内を説得するための資料作成は避けて通れませんが、それに多くの時間を捻出することもできません。しかし、「病院ダッシュボードχ」を用いれば、分析結果をそのまま提案資料として活用できるので、効率的な資料作成を支え、さらには現場からの改善提案をしやすい環境作りにも寄与します。実際、菅野氏は「病院ダッシュボードχで資料を作りやすくなったため、ボトムアップでの提案もしやすくなった」と話しています。

一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
住所:〒960-8611 福島県福島市上町6番1号
http://www.ohara-hp.or.jp/ohara/