事例紹介

2018年08月28日

【病院事例】事務職のチーム医療を実現するツール、戦略面に注力できる|市立砺波総合病院

病院名 市立砺波総合病院 設立母体 公立病院
エリア 甲信・北陸地方 病床数 471
病院名 市立砺波総合病院
設立母体 公立病院
エリア 甲信・北陸地方
病床数 471
コンサルティング期間 2015年11月~
病院ダッシュボードχ
  • ・DPC分析
  • ・財務分析
  • ・マーケット分析
  • ・チーム医療plus
  • ・看護必要度分析

認識乏しい「DPC=急性期医療評価」

 富山県砺波市にある市立砺波総合病院は、人口約13万人の砺波医療圏(砺波市、小矢部市、南砺市)の急性期病院です。「地域に開かれ、地域住民に親しまれ、信頼される病院」を理念とし、年間延べ入院患者数は13万5202人(うち新入院9119人)、外来は27万7063人となっています(2017年度実績)。

 病院経営を可視化、支援するためのシステム導入を検討し始めた2014年当時、いくつかの経営改善に向けた課題が手つかずとなっていました。

 その1つは、入院単価の低迷です。当時はDPC対象病院になってから5年目でしたが、「DPC=急性期医療評価」との理解が乏しく、「診療報酬請求の仕組みが変わった」という程度の認識であったため、在院日数の長期化に対しても、その取り組みに遅れがみられました。

 また、地域の特性によって自ずと「地域医療係数」が高得点になるため、機能評価係数IIの向上に対する意識が低く、調整係数の段階的置き換えの状況にあっても、係数向上に向けた分析が進まない状況にありました。

業績回復を支えた4つの活用方法

 こうした中、診療報酬改定セミナーへの参加と病院ダッシュボードの院内デモンストレーションを経て、2015年11月に病院ダッシュボードを導入。ここ数年の純損益推移(図表)を見ていただくと分かるとおり、病院ダッシュボードの導入を契機として、業績が急激に回復しています。




 ここで、主な活用方法を4点紹介します。

 1点目は、経営指標の見える化です。加算・医学管理料の算定率が分かる「チーム医療Plus」、DPC病院として意識すべき主要経営指標が分かる「DPC俯瞰マップ」について、毎月の最新情報を電子カルテのトップページに掲載しました。これにより、すべての職員が電子カルテを開くたびに、今の経営状況を自然と目にすることができるようになりました。

 2点目はパスの見直しです。隔月で開催しているクリニカルパス委員会では、パス見直しの検討資料として、毎回活用しています。病院ダッシュボードχは全DPCコードの分析が可能になり、さらに活用の場が広がりました。

 3点目は、重症度、医療・看護必要度の適正化です。看護師が過剰評価や過小評価の状況を具体的に把握し、問題点の解決を図っています。

 4点目は診療報酬改定対策です。「改定シミュレーション」の機能を用いて、対応方法のシミュレーションをさまざまな角度から行っています。

プロの分析、資料作成、プレゼン方法が伝授される

 病院ダッシュボードχを使い続けている理由は、ビジュアル的に分かりやすく、プロのコンサルタントが使うプレゼン資料をすぐに得られる点です。

 また、どのDPCコード(疾患)のどこに、どのような課題があるのかがすぐに分かりますし、分析作業にかかる負担を大幅に軽減できるため、「誰に何をどのように伝えるべきか」という戦略・戦術面に注力することができます。自治体病院は短期間での人事異動があるため、データ分析のための人材育成・確保が困難ですが、病院ダッシュボードχを活用すれば、具体的な分析はシステムにまかせられますので、職員は分析結果を組織へどう落とし込むのか、またPDCAサイクルをどのように回すのか、ということなどに専念することができます。

 さらに病院ダッシュボードχを導入すると、「経営データ分析塾」など、システムの活用方法から分析・資料作成までのノウハウ伝授の機会を得られる点も大きなメリットです。これまで、事務が医師の診療プロセスに介入するということはなく、未知の領域でしたが、分析塾などでしっかりと活用方法を身に付け、DPC制度の仕組みの説明と合わせてベンチマーク結果を提示することにより、現場の医療職の理解が得られやすくなった、と実感しています。

 地域包括ケアシステムの構築や地域医療構想の実現のため、病院には機能分化・連携が求められており、加えて公立病院は、経営の効率化とともに地域における良質な医療を確保していかなければいけません。こうした課題の解決にあたっては、すべての職員が現状を正しく把握・認識することが必要であり、そのためには診療データを可視化して容易にアクセスできる仕組みが不可欠です。職員全員が経営改善の成果を実感できる経営環境の実現を目指し、チーム医療を支える一員としてベンチマークを活用した取り組みを継続していきたいと考えています。


市立砺波総合病院
住所:〒939-1395 富山県砺波市新富町1番61号
http://www.city.tonami.toyama.jp/tgh/


冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

コンサルティング部門シニアマネジャー。早稲田大学社会科学部卒業。日系製薬会社を経て、GHC入社。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。