コンサルに聞く(GHCコラム)

2021年08月24日

【3分講座】コロナ禍の病院経営でまず確認すべき視点と6つのポイント


2021年8月下旬時点で、新型コロナウイルスの感染拡大はこれまでにない勢いで広がっています。

政府はこの「第5波」の危機的な状況に対して、8月20日から緊急事態宣言の対象地域を13都府県に、まん延防止等重点措置の適用地域を16道県にそれぞれ拡大。全国のコロナ新規陽性者数は2万5000人を超える状況が続いており、またしても「医療崩壊」の危機が叫ばれています。

こうした中、「このままで自病院の経営は持つのか」と不安にかられる病院関係者も多いかと思います。ここ最近、コロナ禍の病院経営について病院関係者からご質問いただく場合、我々コンサルタントはまず確認すべき重要な視点と、それに基づく6つの経営指標のチェックをご案内しています。本稿ではそのポイントについて、3分で読了できる分量でご説明させていただきます。

「比較」しないと本当の姿は分からない

コロナ禍の病院経営においては、一部の病院を除き、ほとんどの病院が経営的にマイナスの影響を受けることが分かっています。それはコロナ患者を受け入れている病院も、受け入れていない病院も同じです。例えば、症例数の前年度比較で言うと、受け入れ病院はコロナ患者対応に伴う通常診療の縮小など、受け入れていない病院も予定手術の延期や患者の受診控えなどで、それぞれ症例数が大きく減少している傾向にあります。

図表1は約600の急性期病院のさまざまな経営データを分析できる「病院ダッシュボードχ」の分析結果の一例です。


縦軸が2019年度と2020年度の症例数を比較した変化率で、真ん中の「0」より上が増加、下が減少を示しています。横軸には600病院がずらりと並びそれぞれの変化率を示しており、この図表を見ると、9割近くの病院の症例数が減少していることが分かります。

何が言いたいのかと言うと、コロナ禍でこれだけ多くの病院の症例数が減少している中、自病院の症例数の減少だけに着目しても、自病院の今の状況が良いのか悪いのか判断ができないということです。別コラムで分析の基本は(1)値の幅(2)時系列(3)比較――の3つの視点で考えることだと指摘しました(関連記事『経営企画に欠かせない「データ分析」の基礎|コンサル講座「DPC病院の経営」(2)』)。コロナ禍で軒並み症例数が減少に転じている中においては、「比較」つまりベンチマークしないと自病院が今置かれている本当の姿が見えてこないのです。

確認すべき6つの経営指標

このことは症例数だけに限ったことではありません。

例えば、近隣の医療機関からの紹介件数。紹介件数は急性期病院の症例数に大きく影響するため、この数字も「単に減っている」だけではなく、ベンチマークの変化率が他病院より大きいのか小さいのかは確認する必要があります。さらには、設立母体や病床規模、地域で絞り込んだ場合の変化率はどうなのかなど、さまざまな視点でベンチマークし、自病院の本当の姿を見える化することなしに、有効な対策を講じることはできません。

病院ダッシュボードχ」のユーザー病院ならこれらベンチマーク結果を瞬時に知ることができるため、我々はまず上記のようにアドバイスすることが多いです。症例数や紹介件数を含めて、最低でも図表にある6つの経営指標のベンチマーク結果は確認すべきなので、コロナ禍の経営に不安を感じられている病院関係者はまず、これら数値をご確認ください。


経営改善の第一歩は現状の見える化です。コロナ禍で自病院の立ち位置が分かりづらくなっている今こそ、ベンチマークの有効活用による自病院の本当の姿を確認した上で、それぞれの病院にとって最適で最善な経営改善策を検討してください。

太田 衛(おおた・まもる)

株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。診療放射線技師。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程を修了し、大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHCに入社。地域連携、病床戦略、DPC分析を得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードχ」の設計、マーケティング、カスタマーサポートを担当。新聞や雑誌の取材・執筆多数。