お知らせ

2026.03.16

「プラス改定も厳しい経営環境が続く」、日本病院会が経営管理者向け研修会を開催

 日本病院会は2月26日、「中小出来高病院経営管理者向け研修会」をオンラインによるweb形式で開催。300件近くの病院からの申し込みがあり、当日リアルタイムで約200人が参加しました(後日オンデマンド配信あり)。


 演者は、日本病院会副会長で新古賀病院総病院長の島弘志氏、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)のコンサルタントでマネジャーの中村伸太郎が務めました。


 島氏(以下画像右)の講演では、大幅なプラス改定になったものの、「目下の病院経営は厳しい環境が続くだろう」と指摘しました。





「かなりショッキングな状況」「保険診療外の収益確保も」


 島氏は「令和8年度診療報酬改定と今後の病院経営について」と題して講演しました。「今回の診療報酬改定では、本体改定率は+3.09%になり、薬剤費、診療材料費を差し引いてもプラス改定になりました。ただ、改定財源の多くは賃上げに費やされ、相変わらず病院経営は厳しい環境下にあると予想される」と指摘。実際、2026年度診療報酬改定の概要を確認した上で、病院経営定期調査の内容に触れました。2025年6月時点で医業利益が赤字の病院は全体の67.2%(前年同月比1.3ポイント増)、経常利益が赤字の病院は全体の61.2%(前年同月比2.6ポイント増)でした。


 また、独立行政法人福祉医療機構(WAM)によると、一般的な債務償還年数5~10年を大きく上回り「経営破たんの懸念先」となる債務償還年数30年超およびマイナス(債務償還原資(経常利益-収益関係税金+減価償却)が赤字)の病院が半数(母数は1943病院)を占めています。これについて島氏は「かなりショッキングな状況と言える。9000以上あった病院が8000台になった」と指摘しました。


 こうした状況を受けて、保険診療以外の収益確保が必要との考えから、全国健康保険協会(約267万事業所、3954万人)が行う「人間ドック事業」の説明もしました。35歳以上の被保険者を対象に一定の項目を網羅した人間ドックに対して2万5000円の定額補助を行うというものです。島氏は厳しい経営環境で経営を立て直す一つの材料として活用を検討するよう呼びかけました。


 こうした厳しい経営環境の中、有益な考え方の一つとして「CSV(Creating SharedValue)経営」を紹介しました。CSV経営とは共有価値の創造を行う経営のことで、経済的価値(利益の獲得)と社会的価値(社会課題の解決)を両立することを意味します。CSV経営の考え方に基づき、「変動の激しい環境の中でも良質の医療を提供し、健全経営を目指してまいりましょう」として講演を締めくくりました。


JHAstisを活用した改善活動の進め方


 中村は「中小出来高病院における改定対応のすすめ方」と題して講演。中小出来高病院を取り巻く環境の変化を踏まえた上で、中小出来高病院が把握しておくべき次期診療報酬改定の概要を確認。JHAstisの経営分析レポートの中にある薬剤師1人あたりの自院スタッフの生産性を他院と比較する「薬剤管理指導料算定件数」のベンチマーク分析、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリ実施状況を他院と比較することで疾患別にさらなるリハビリ充実の可能性や退院目標の見直し等に活用する分析例などを取り上げ、JHAstisの経営分析レポートを活用した改善活動の進め方などを紹介しました。


5種類のレポートと動画解説、分析ツール提供の「JHAstis」


 同システムは、日本病院会の会員病院で、出来高算定病院が対象です。


 JHAstisは、出来高算定病院が重要な経営判断を行う際に活用できる経営分析レポートです。JHAstisユーザーは、専用ソフトを用いて、匿名化した診療データを日本病院会へ提供するだけで、経営の改善に資する情報を掲載した以下のレポートを受け取ることができます。


●経営重要指標レポート:毎月把握すべき主要な経営指標
●病床機能別レポート:個別の病床機能に特化した分析。入棟中の診療状況等を他病院比較
●増収対策レポート:加算等算定強化、増患などの具体的な手法を病院経営の専門家が解説
●エグゼクティブレポート:時間のない院長など病院幹部が改善状況を俯瞰
●診療報酬改定レポート:診療報酬改定に必要な情報を提供


 レセプトデータのみではなく、より詳しく精度の高いベンチマークデータを示せるDPCデータも活用。経営分析レポートの動画解説や、分析用の新ツール「JHAs+(ジャスタス)」も提供しています。




中村 伸太郎(なかむら・しんたろう)

コンサルティング部門シニアマネジャー。東京工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻 修士課程卒業。DPC分析、財務分析、事業戦略立案、看護必要度分析、リハ分析、病床戦略検討などを得意とし、全国の病院改善プロジェクトに従事。日本病院会が出来高算定病院向けに提供するシステム「JHAstis」の社内プロジェクトリーダーも務める。