お知らせ

2020.02.12

日本病院会が大阪で「中小出来高病院のための経営改善手法研修会」を初開催

 日本病院会は2月10日、大阪市内で「中小出来高病院のための経営改善手法研修会」を開催しました。関西地方で同研修会を開催するのは初めて。テーマは2020年度診療報酬改定および経営改善の手順。演者は大阪府私立病院協会会長で日本病院会常任理事の生野弘道氏、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)のコンサルタントでアソシエイトマネジャーの中村伸太郎が務めました。関西地方の病院関係者を中心に87人が参加しています。



会場の様子

「JHAstis」がDPCデータ対応、より精緻な分析へ


 同研修会は、日本病院会の会員病院で、出来高病院が対象。日本病院会が展開する出来高算定病院向け経営分析システム「JHAstis(ジャスティス)」の活用を前提に、実践的な経営関連情報や具体的な経営改善手法を学べます。都内開催の好評を受けて、今回の大阪開催になりました。


 JHAstisは、出来高算定病院が重要な経営判断を行う際に活用できる経営分析レポートです。JHAstisユーザーは、専用ソフトを用いて患者情報を匿名化したレセプトデータを日本病院会へ提供するだけで、(1)自病院の各種経営データの分析(2)他病院とのベンチマーク分析(3)自病院と他病院のデータを確認しながら活用できる各種加算・指導料の算定マニュアル--などのレポートを受け取ることができます。


 研修会の冒頭で挨拶した日本病院会でJHAstisを統括する大道道大副会長は、「経営への関心が低く、自病院の立ち位置が分かっていない病院経営者は驚くほど多い。経営改善をするためのエビデンスとして、JHAstisのベンチマークデータを活用してもらいたい。来年度からは、レセプトデータだけではなく、より詳しく精度の高いベンチマークデータを示せるDPCデータも活用した経営分析レポートへブラッシュアップする」と、データを軸にした経営改善への取り組みの必要性を訴えかけました。



日本病院会の大道副会長

加算算定支援ツールの体験会も実施


 講演では、生野氏が「2020診療報酬改定の傾向と対策-令和2年の診療報酬改定を見据えて-」と題して次期診療報酬のポイントを解説。中村は「令和2年度診療報酬改定について-明日から始める改定対応-」として今回の改定の影響をシミュレーションした結果などを示しました。



大阪府私立病院協会の生野会長

 生野氏は、急性期医療における次期診療報酬改定のポイントについて、特に重症度、医療・看護必要度の評価基準見直しに言及。より急性期らしい医療を評価するため、看護必要度を満たす重症患者のカウント対象から、処置等を受ける認知症やせん妄状態の患者を削除するなど要件が厳格化されました。重症患者割合の基準値については、算定病院数が最も多い「急性期一般入院料1(旧7対1入院基本料)」の重症患者割合(看護必要度IIの場合)が25%から4ポイント増の29%へと引き上げられた一方、2018年度改定で新設されたものの未だ算定病院数が少ない「急性期一般入院料2」は2ポイント増の26%、「急性期一般入院料3」は23%で据え置きとなっている点を解説。


 これについて生野氏は、「(認知症患者をカウント対象から外すなどの)今回の見直しで、入院料1の重症患者割合を満たすことが難しくなってきた病院が、入院料2や入院料3へ行きやすくなった。今回の見直しで、ようやく、何とか増えすぎてしまった急性期病床(入院料1)が減っていくのではないか」との見方を示しました。


 中村は「JHAstisレポートの活用方法-病院における経営改善3つのポイント-」の演題でも講演し、JHAstisを用いた経営改善の手順を解説しました。今期はGHCが提供する経営分析システム「病院ダッシュボードχ(カイ)」のオプション機能で、加算算定支援ツール「チーム医療plus」の無料トライアル権を、JHAstisユーザーへ期間限定(2020年4月末まで)で特別に付与しています(DPCデータの提出が条件)。講演では「チーム医療plus」の説明もしたほか、会場内に体験ブースを設置。多くの参加者がブースへ立ち寄りました。


解説を担当したコンサルタント 中村 伸太郎(なかむら・しんたろう)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイマネジャー。
東京工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻 修士課程卒業。病院コンサルティング会社で約7年勤務後、診療所向けコンサルティング会社を経て、GHCに入社。日本病院会の中小病院経営支援事業「JHAstis」の事務局を担当する。