2025.07.18
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は7月18日から開催の第27回日本医療マネジメント学会学術総会のランチョンセミナーで、「経営環境の厳しい中・・・「働き方」からブレークスリュー」と題して講演しました(当日の配布資料はこちら)。演者はGHCシニアマネジャーの冨吉則行(写真上)、座長はGHCアシスタントマネジャーの西田俊彦(写真下)が務めました。
病院の厳しい経営環境が続いています。新型コロナウイルス感染拡大期後に受療行動が変化した影響もありますが、人件費や諸物価高騰に診療報酬が追い付いていないことも大きな原因の一つです。こうした中、病院はいかにして収益を拡大すべきか――。冨吉は病院経営支援システム「(カイ)」を用いて解説しました。
「」は、GHCが開発・販売するシステムで、完全無料の経営分析ツール「病院ダッシュボードχ ZERO」も併せて提供しています。病院経営におけるさまざまな課題について、1000病院超のDPC病院のデータに基づくベンチマーク分析の結果を瞬時に分かりやすく表示することができます。なお、DPC分析ソフト「」や「」、「病院ダッシュボードχ ZERO」をご利用の病院は、毎月発行する経営分析レポート「」を無料で購読することが可能です(ご購読がまだの方はこちらよりお申し込みください。無料ツール「病院ダッシュボードχ ZERO」のお申し込みはこちら)。
収益を拡大するための最も大きな論点は、症例数と一症例あたりの単価それぞれの最大化です。
まず、症例数の最大化においては、「」の基本機能の一つである地域連携の状況を可視化する機能「地域連携分析」を用いれば、病院ごとの課題を瞬時に探ることができます。例えば、以下の図表は縦軸が紹介患者の入院移行率、横軸が紹介回数(100床あたり換算)で示した「地域連携分析」のベンチマーク結果です。左下にある塗りつぶし点の病院(ダミーデータ)は、紹介回数は平均より多いものの、紹介を受けた患者の入院移行率が低い傾向にあります。つまり、「地域の基幹病院である当院が入院につながらない外来診療を多く受けているのでは…」「紹介元へのアプローチ方法に問題があるのでは…」などの検討をするきっかけにつながります。
もう一つの論点である症例単価の最大化においては、例えば加算・指導料等の最適化が考えられます。加算・指導料等の最適化はオプション機能である「チーム医療plus」を用います。すべての加算・指導料等の算定件数だけではなく、算定率や算定機会率のベンチマーク結果を随時、モニタリングすることができます(以下の図表参照)。これによって、他院と比較して何ができていて、何ができていないのかが一目瞭然になります。
働き方改革が進む中での医療スタッフの業務効率化も重要な論点です。同じく「チーム医療plus」の「生産性分析」を用いれば、医師、看護師、薬剤師の生産性をベンチマーク分析することができます。以下の図表は左の縦軸が薬剤師一人あたりの算定金額、右の縦軸が100床あたり薬剤師の人数を示し、横軸には左から算定金額が高い順に病院がずらりと並んでいます。これを見ると、薬剤師3人でトップクラスの算定金額の病院もあれば、薬剤師10人でも算定金額は下位に位置する病院もあります。ベンチマーク結果とそれぞれの病院の現状を精査し、医療スタッフ一人ひとりの生産性が最適か検討する機会を持つことができます。
業務改善・効率化については、当社コンサルティングでも承っています。講演内でご紹介させていただいた看護業務効率化の事例については、こちらの事例で詳細をご確認ください(『費用ゼロで看護記録総時間一人あたり60.7分削減、姫路赤十字病院「看護記録見直し隊」
冨吉は厳しい経営環境下における収益拡大について、「すべての部署において可視化して目標を立てて計画することが重要」と指摘。病院経営におけるデータ活用の重要性を強調しました。
また今回のランチョンセミナーでは、参加施設限定特典として「財務・生産性分析レポート」を無償提供(以下図表)。DPCデータ、財務データ、人員配置データを用いてベンチマーク分析し、財務状況や職員の生産性の課題を可視化するというものです。7月24日に長崎で開催する日本病院学会のランチョンセミナーでも同様の特典をご案内するので、ご興味ある方は是非、会場へお越しください。
冨吉 則行(とみよし・のりゆき) | |
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コンサルティング部門シニアマネジャー。早稲田大学社会科学部卒業。日系製薬会社を経て、GHC入社。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。 |
西田 俊彦(にしだ・としひこ) | |
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コンサルティング部門コンサルタント。医師、小児科専門医、公衆衛生学修士、経営科学修士。東京医科歯科大学医学部医学科卒業。神奈川県立こども医療センター等を経てGHC入社。臨床・研究活動の経験を生かし、現場視点でのカイゼン提案を得意とする(詳細はこちら)。 |
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